『オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』から 「日本の衰退」は起きているのか？』

現代の文化とは何かと考えて見ますと、「オタク文化」や「ネット文化」などもそうですが、よく「大衆文化」という言い方をされると思います。 この「大衆」という言葉は、もともと労働階級などを指していたもので、その反対に位置されていたのは「貴族」でした。 ですが、ここでいう貴族とはただ特権を持って、庶民を痛めつけるだけの貴族ではありません。それは文化の担い手、社会の指導者としての自覚を持った「選ばれた人々」という意味です。 欧州では十八世紀のフランス革命以後、急速にこうした「貴族」を含めての特権階級の存在は縮小していきました。 そして、代わりにそこへ入って来たのがいわゆる中産階級とされていた「ブルジョワジー」と呼ばれる人たちです。 これがさらに十九世紀も後半になりますと、労働者の中でも次第に生活に余裕ができる層があらわれて、こうした「文化」の中での位置づけも徐々に拡大していくことになります。 今回書