『健康な部分で診るという不思議』

精神科では、診察は自分の「健康な部分で診なさい」と言われる。 これは良く考えると不思議な助言である。健康な部分って、自分でわかるものだろうか？みたいな・・ 過去ログで、患者さんは主治医以上に良くならないという話が出てくる。これは患者さんにとっては笑えない話であり、 それじゃ、治らないとおんなじだ・・ 患者さんが相当に良くなっている過程で、その患者さんの精神に自分の傷と言うか、欠点を見出すことがある。本当に稀なんだけど。 その時、あたかも鏡のように映し出されているような感覚になる。こういうやり取りで、精神科医は成長していく。それができない精神科医は一歩、病理が深いと言える。 その時の自分は精神科医としての限界でもある。 そんな風に考えていくと、意識していても傷なんて隠せない！ 言ったところであろう。つまり、健康な部分で診るなんて、言われるほど易しくない。気持ち、そういう風に心がける程度である