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『文学の器』坂本忠雄(扶桑社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
→紀伊國屋書店で購入 「編集者の武器」 編集者という存在は、実にあやしいものだ。しゃべらせれば饒舌か... →紀伊國屋書店で購入 「編集者の武器」 編集者という存在は、実にあやしいものだ。しゃべらせれば饒舌かつ明晰。頭の回転は速いし、文章も書けるし、どこから聞きつけるのか人事にもやたらと詳しく、人の名前も漢字に至るまで正確におぼえているし、誰が誰の親だとか親戚だとかといったことも把握し、あたり前かもしれないが、本のこともよく知っている。酒も強い。野球もうまい。服は黒い。ところが、ある一点のことでは、ある刹那に、急に寡黙になったりもする。 実はこの寡黙さこそが、編集者の武器なのだ。編集者の最大の役割は、黙ることだと言ってもいい。何しろ、編集者という職業の本質は、「見えないこと」なのである。 本書の著者坂本忠雄は、『新潮』で14年間にわたって編集長を勤め、晩年の小林秀雄に『本居宣長』を書かせた人物である。もはや伝説と化したような作家たちと親しく付き合い、また畏怖されもした編集者である。しかし、本書は
2009/08/17 リンク