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『暴力の哲学』
9・11以降、日本では新しい平和運動のスタイルが生まれた。それは主にインターネットを介して、様々な団... 9・11以降、日本では新しい平和運動のスタイルが生まれた。それは主にインターネットを介して、様々な団体はもとより、組織、階層による束縛のない個人同士の間においても、自然発生的に瞬時に沸き起こったフレキシブルなアクションであった。それまで特定の利害に対するリアクションとしての特定の団体の抗議行動がその主流であったものが、それらに属さないような個人が、「平和」という普遍的なテーマの下に「発見」されていったのが特徴だ。その勢いの中でデモ行進は「ピースウォーク」と呼ばれ、権力への敵対意識丸出しの従来のスタイルは忌避された。ここで掲げられた「テロにも戦争にも反対」という「圧倒的に正しいスローガン」に対して、著者は割り切れない思いが拭えない。そういった極めてアクチュアルな問題意識から本書は書かれている。 暴力を哲学するとは、暴力を批判すること。この「批判」とは、暴力を拒絶することではなく、「(暴力の廃