観劇予報 : 魔女狩りの恐怖と人間の尊厳を突き付ける『るつぼ』

2012年11月11日21:00 カテゴリレビュー速報 魔女狩りの恐怖と人間の尊厳を突き付ける『るつぼ』 アーサー・ミラーの傑作戯曲が、新国立劇場で公演中である。（18日まで） ３時間半という長さのセリフ劇なのに、たたみかけるようなドラマの展開と突き刺さる言葉の鋭さに、時間を忘れて作品世界に引きずり込まれる。なんとも凄みのある作品である。 初演は1953年、共産主義との冷戦を受けてアメリカ中をマッカーシズムが席巻した。いわゆる「赤狩り」である。作者本人もこの本を書いた数年後の1956年には非米活動委員会で査問されている。 そんな時代背景を知らないで観たとしても、この作品の中で語られる「魔女狩り」と「魔女裁判」は、けっして絵空事ではない、誰でも「もし自分なら」と我が身を振りかえらざるを得ないリアルな恐怖となって観るものへと迫ってくる。 物語は17世紀終わり、アメリカ北部のマサチューセッツ州、

[arajin]

「アーサー・ミラー」「セイラムの魔女裁判」