余録：春夏の甲子園には五輪や国体と違って国籍規定がない… | 毎日新聞

春夏の甲子園には五輪や国体と違って国籍規定がない。1957年春に優勝し、夏にもベスト8入りした早稲田実業のエースだった王貞治さんが外国籍のため、その年の国体に参加できなかったのは有名な話だ▲黎明（れいめい）期から門が開かれていた。初の外国人選手は16年の第2回大会で優勝した慶応普通部のジョン・ダン一塁手。父親は北海道で農畜産業を指導した明治の「お雇い外国人」、エドウィン・ダンだ▲豊中球場時代で野球規則も整備途上。慶応のエース、山口昇投手は大学野球でもレギュラーを務めていた。監督はハワイ出身の日系移民2世。日本人とドイツ人の両親を持つ選手もいて実に多様性に富んでいた▲107年ぶりの優勝を果たした慶応のおおらかさは伝統だろうか。「エンジョイ・ベースボール」を合言葉に自主性重視で頂点にたどりついた。「高校野球の多様性」を口にしていたのが森林貴彦監督だ▲「白河越え」に1世紀を要した東北勢が連覇を逃