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上野修「スピノザの世界」 - モナドの方へ
平易で、それでいて奥の深いスピノザの入門書。スピノザに関しては面倒な解説書はそれなりにあったけど... 平易で、それでいて奥の深いスピノザの入門書。スピノザに関しては面倒な解説書はそれなりにあったけど、とっつきやすいのはなかった。そんな薄闇に一筋の光となる良書である。 そもそもスピノザのやり方は、わかりやすさではなく精密さ、そして明晰さを目的としている。エチカにおいて数学証明の手法が使われているのはそのためだ。 たしかにエチカは精密すぎる故に分かりづらい。ひとつひとつの証明をちゃんと追っていかないと、途中でなぜこうなるのか分からなくなる。しかしスピノザはこの恐ろしく複雑な証明をやってのけた。これは最初から意図されたことなのか?それとも書き進めるうちに発見していったことなのか? 著者もそのことを念頭に置きながらエチカの解説を進めてゆく。つまりエチカを壮大な思考実験として捉え、その結果、神とは(あるいは世界とは)なんなのかを検討してゆく。その中で登場する定理の相関図などが、論議に花を添えている。
2008/03/31 リンク