感想・書評「もつれっぱなし/井上夢人著」ネタバレ注意・男女の会話だけで繰り広げられる舞台。６編の連作短編集（レビュー）。 #読書 - みんなの読書ブログ

もつれっぱなし/井上夢人著。こんな小説読んだことない。 小説といえば、主人公がいて、行動を起こし、問題を解決する、というものを指すと思っていた。 それが物であれ、主人公が老若男女誰であれ、今まで読んできた小説は、構造力を掻き立てるいろんな言葉が並べられていた。 が。この作品は違った。 わかりやすくいえば、台本のような、男女の会話だけで繰り広げられる舞台。 ６編の連作短編集で、さらに全ての物語でどんでん返しが起きる。 読者はセリフだけのヒントを頼りに情景を思い描き、物語に入ってゆく。 ト書きがないからこそのスピーディーな展開にぐんぐん引き込まれる。 会話が会話にかかり、面白くねじれ、絡まっていく、そして最後に今までの会話が全てひっくり返る。 一度読むとこの爽快感は病みつきになる面白さだ。 特に面白いのは嘘の証明、という作品で、初見、会話の主は万引きをした女子小学生と先生だが、会話が進むにつれ