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『マチネの終わりに』第八章(47)|平野啓一郎
ジュネーヴに発つ前に、洋子はロサンゼルスに住む父親のイェルコ・ソリッチに会いに行った。ケンが生ま... ジュネーヴに発つ前に、洋子はロサンゼルスに住む父親のイェルコ・ソリッチに会いに行った。ケンが生まれた時に一度、顔を見せに連れて行き、その後、ニューヨークでも会っていたが、父がリチャードに好感を抱いていないことは、隠そうとしても何となく察せられた。 宿泊先のサンタ・モニカのホテルで待ち合わせをして、近くのレストランまで歩いて移動した。洋子は、午前中、ビーチ沿いの遊歩道を一時間ほどジョギングして、そのあと、屋外のプールでも少し泳いでいた。西海岸にはほとんど馴染みがないが、プールサイドのベンチに横たわって、青空を背に椰子の木を見上げていると、結婚生活の場所がここだったなら、違った結果もあり得たのかもしれないと、現実感もないまま考えた。 ソリッチは、パナマ帽に黒いシャツという昔ながらの出で立ちだったが、それが顎の全体を覆う髭に、よく似合っていた。顔色が良く、元気そうだったが、髪はとうとう完全に白く