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薬師丸ひろ子が、音楽家に愛される理由 言葉と歌に向き合ってきた35年を追う
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薬師丸ひろ子が、音楽家に愛される理由 言葉と歌に向き合ってきた35年を追う
その歌声は、透きとおっていて、美しい。歌というのが、その美しさによって、祈りになることもあれば、... その歌声は、透きとおっていて、美しい。歌というのが、その美しさによって、祈りになることもあれば、救いになることもあるのだと、改めて思い知らされるほどの美しさだ。朝霧が漂う森の中を、その日初めての陽射しを浴びながら流れる小川のように清らかで、と同時に、その美しさは、嵐が吹き荒れる夜の海でさえも凛と響き渡るような強さをも備えている。また、冬の夜に舞い降りる雪の音よりも、ひめやかでつつましい。 こういう天賦の才に恵まれた人もいるのだなと、つくづく感心させられる歌声だ。歌声が美しいだけではない。この人に歌われると、普段、身の回りで乱暴に飛びかう日本語が、日本語という言語がこんなにも麗らかで、厳かで、気品があったのかと気づかされることさえある。 だからこそ、歌手、薬師丸ひろ子に魅せられる人は少なくない。彼女の歌声を聴くたびに、忘れて久しいものと再会し、懐かしい大切なものに触れたときのように、心穏やか