ほぼ日刊イトイ新聞 - おとなの小論文教室。

Ｌｅｓｓｏｎ６０４ 人の品 友人があっという間に「品」を失ったことがあり、 あれはなんだったんだろう？ と、ずっと考えていた。 友人とは、 ほとんど音信不通のような半年がつづき、 さすがにまわりも心配しはじめ、 とくに仲のよかった数名で、 友人のマンションをたずねることにした。 ドアから顔を出した友人に、 だれもが言葉を失った。 半年前とは別人だ。 べつに化粧がケバくなったわけでもない、 激太りしたわけでもない、 服装も髪形も、とくに以前と変わったわけではない。 でも決定的になにかが違う。 たたずまい、 ことば、 ふとしたはずみに見せる表情、しぐさ、 そのはしばしが、いちいち全部、ちがう。 半年であっという間に変わり果てた、その変化が、 私たちは言葉にならず無言のままだった。でも、 帰途で、だれからともなく、 「品が無くなった‥‥」 ポロリ、もれた。 わたしもまさに！そう思っていたので、

[koudaiii]

“自分で考え、自分の手で選んだ、 自分の人生を歩みたい。 この意志だけは、どんな苦境も決して奪えなかった”

[ngt1979]

貧乏は、自己表現の機会を奪う。自分らしい服装をするにも、自分らしくいられる場に出かけ、無邪気に遊ぶにも、趣味を愉しむにもお金が要る。人の「品」は、自分を生きることを諦めないところから来るように思う。

[cannawithorange]

友人は、自分を生きることを諦め、自分の人生から降りた。