マイ・ライフ・アズ・ア・ブック My Life as a Book アンジェラ・カーター『ブラック・ヴィーナス』

・アンジェラ・カーター『ブラック・ヴィーナス』（河出書房新社） アンジェラ・カーターを読んだのは久しぶりだ。 『血染めの部屋』（筑摩書房）、『魔法の玩具店』（河出書房）を読んでけっこう嵌まり、『ワイズ・チルドレン』（早川書房）まで追いかけたのだが、そこでやめてしまった（『夜ごとのサーカス』（国書刊行会）は未読。『ラブ』（講談社）は見つからない…）。あんまり久しぶりで、亡くなっていたのを知らなかった（忘れてた）くらい。 本書は彼女の自選短篇集であり、8篇の作品が収録されている。ほとんどが〈女性〉を主人公／語り手／モチーフにしており、ボードレールの愛人の独白「ブラック・ヴィーナス」、中央アジアの伝説を材にした「キス」、ポーの母親・妻を語る「エドガー・アラン・ポーとその身内」、インディアンになった白人女性＝「わが殺戮の聖女」、『真夏の夜の夢』の楽屋話である「『真夏の夜の夢』序曲と付随音楽」、狼少