【背中の龍】川本喜八郎さん死去 : 47トピックス - 47NEWS（よんななニュース）

昇り龍【４７コラム】凄みある人柄に魅せられて人形美術家、川本喜八郎さんのアトリエには何度もうかがったことがある。遺作となってしまった映画「死者の書」を公開した頃からだった。 その背中には、昇り龍と降り龍が彫ってある。 日本を代表する人形アニメーション作家、川本喜八郎さんは、自身の集大成となる映画に取り組んでいた。 中国の詩人、李白を主題に選んだ。ＮＨＫ人形劇「三国志」、弓の名人の生涯を描いた「不射之射」など、中国を舞台にした作品を多く作った。 「若気の至りで大陸浪人になろうと思っていたんですね」。戦前を旧満州国の職員として過ごした。「私の原点は中国です」と、ことあるごとに語っていた。陸軍将校として終戦を迎え、戦後は東宝で美術を担当したが、東宝争議に参加し社を去った。激動の時代を駆け抜けた。 ３３歳の時、東京の下町で背中に刺青を彫った。その年からアニメーションを本格的に取り組んだ。人形を少し