公開講座 やさしい現代美術 セザンヌ

近代都市パリに不適応 1861年、22歳のセザンヌはパリに絵を学びに出る。彼の出発点は時の前衛、マネやそれに続くモネら印象派である。しかし、セザンヌの実直な資質、あれこれ思いをめぐらす執拗な探求癖は、マネの「瞬時」をとらえる流麗な筆致には無縁だったし、モネの光を追う早描きにも遠かった。頑固で人嫌いのセザンヌにはカフェでの機知に富んだ絵画論議も似合いそうにない。そのかたくなで一途な性向はゴッホを思わせるものがある。 結局、彼は官立の美術学校への入学は果たせなかったし(1863)、サロンに入選するのもむずかしかった(1866-)。 セザンヌが「瞬時の現在」が充溢する近代都市パリに不適応なのは明らかだった。彼は次第にプロバンスの田舎エクスに引っ込むことが多くなった。（1879 40歳）それでも、芸術の都パリへの思いも捨てがたく、何度も行き来をくり返す。 ところで、セザンヌにみられるような