ひとは一生「わたし」と付き合う。 知人・友人であれば、気に食わない相手と二度と会わないこともできる。場合によっては血のつながった家族であっても、絶縁することは可能だ。 けれども「わたし」という相手だけは、絶縁がかなわず、一生付き合っていくしかない。いったいどうすれば、「わたし」という生涯の伴侶を好きになれるのか。どうすれば、「わたし」への嫌悪感を払拭できるのか。これは、多くのひとが思っている以上にむずかしい問題だ。 「わたし」を好きになりたい。 「わたし」を価値あるものと実感したい。 「わたし」は無価値だと思いたくない。 このとき、ぼくらのこころには、承認欲求と呼ばれる欲望が芽生える。他者から認めてもらうこと。あのひとにほめられること。みんなに一目置かれ、ちやほやされること。それによって「わたし」の価値を実感し、「わたし」を好きになろうとするのだ。 けれどもそれではダメだ、と喝破したのが、