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ブックマーク / blog.tatsuru.com (6)

  • 安倍政権の7年8カ月 - 内田樹の研究室

    安倍政権7年8カ月をどう総括するかと問われたら、私は「知性と倫理性を著しく欠いた首相が長期にわたって政権の座にあったせいで、国力が著しく衰微した」という評価を下す。 日は今もGDP世界三位だし、軍事力でも世界五位の「大国」である。国際社会の中では「先進国」として遇されているし、米国の東アジアにおける最も信頼できる同盟国であるという評価も安定している。けれども、日が「あるべき国際社会」を語り、その実現に向けて指導力を発揮することを期待している人々は国内外を探しても見当たらないし、経済的成功のための「日モデル」や、世界平和の実現ための「日ヴィジョン」を日政府が提示するだろうと思っている人もいない。これだけの「国力」がありながら誰も日にリーダーシップを求めていない。そのことに、われわれはもっと驚くべきだと思う。 どうして国際社会は日にリーダーシップを求めないのか? それは日人が「

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    fab-lab 2020/08/30
  • 図書館について - 内田樹の研究室

    「最終講義 韓国語版 あとがき」としてこんな話を書いた。 みなさん、こんにちは。内田樹です。 『最終講義』韓国語版お読み頂きまして、ありがとうございます。 これは講演録です。講演録といっても、録音を文字起こししただけだと、話がくどすぎたり、逆に説明が足りなかったり、言いかけた固有名詞や年号や数値が思い出せなかったり、間違えたりというころがあるので、読みやすくするために少しは加筆しています。でも、だいたい話すときは「こんな感じ」です。 「あとがき」に書いてある通り、講演のときに僕はあまり準備をしません。その場に行って、看板を見上げて「あ、今日はこんな演題なんですか」と驚くことさえあります。それでも、「どういう演題でお話頂けますか?」という問い合わせに対して自分で選んだ演題ですから、その時点では「こういう話をしよう」という腹案があったはずです。自分の腹の中のどこかにあるものなら、探せば出て来ま

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    fab-lab 2019/07/22
    開架は権殿、閉架は本殿、二元支配でより強固な結界ばりシステム。俗な時間帯や場所があることで、静かな時空の神聖さが増し、忘れ去られし本どもから伸びた手は彷徨者を引っ張り、目配せし、囁きかけてくるという…
  • 受験生のみなさんへ - 内田樹の研究室

    「サンデー毎日」の先週号に「受験生のみなさんへ」と題するエッセイを寄稿した。 高校生や中学生もできたら小学生も読んで欲しい。 受験生のみなさんへ。 こんにちは。内田樹です。この春受験を終えられた皆さんと、これから受験される皆さんに年長者として一言申し上げる機会を頂きました。これを奇貨として、他の人があまり言いそうもないことを書いておきたいと思います。 それは日の大学の現状についてです。いま日の大学は非常に劣悪な教育研究環境にあります。僕が知る限りでは、過去数十年で最悪と申し上げてよいと思います。 見た目は立派です。僕が大学生だった頃に比べたら、校舎ははるかにきれいだし、教室にはエアコンも装備されているし、トイレはシャワー付きだし、コンピュータだって並んでいる。でも、そこで研究教育に携わっている人たちの顔色は冴えません。それは「日の大学は落ち目だ」という実感が大学人の間には無言のうちに

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    fab-lab 2018/03/23
  • 「神々」の声 - 内田樹の研究室

    学校から帰ってきたので、さきほどの続き。 ジュリアン・ジェインズの「脳機能分化論」である。 630頁もある大冊なので、内容を要約することはむずかしいので、最初の方の「さわり」だけご紹介する。 ジェインズが資料に使うのはホメロスの『イーリアス』である。 この古典には「意識」とか「意志」とか「精神」とかいう語が存在しない。 ジェインズによると、それは「『イーリアス』に出てくる人々は自らの意思がなく、何よりも自由意思という概念そのものがない」(94)からである。 古代ギリシャというのは「意識」という概念がない世界なのではないかとジェインズは推論する。 「意識」がない人間はではどうやって思考したり判断したりするのであるか? 答えは聞いてびっくり。 彼らは「神々」が命じるとおりに生きるのである。 古代ギリシャにおいては「神々が意識に代わる位置を占めている」(96)のである。 「行動は、はっきり意識さ

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    fab-lab 2013/12/11
    "ある種の宗教や政治イデオロギーが多くの人を魅了するのは、その不条理性が人々の陥っている状況の不条理性と釣り合っているから""支離滅裂さや非論理性が、落ち込んでいる状況の支離滅裂さや非論理性と同質だから"
  • 東北論 震災・原発事故 (内田樹の研究室)

    ご近所の灘校の文化祭で東北研究のパネル発表をするということで、インタビューを受けた。なかなか白熱したインタビューで、「東北とは」という切り口でものを考えたことがあまりなかったので、新鮮だった。 インタビュアーは高校生。 ―まず先生は震災当時はどこにいらっしゃったのですか。 3月11日はスキーに信州に行った帰りで、電車が止まって、直江津で足止めをらってました。よく事情が分からなくて、夜中も余震が凄かったし。阪神大震災以来だから恐怖心を感じました。翌日電車が動いて1日遅れでこっちに帰ってきました。 ―先生は阪神淡路大震災も経験なさってるわけですよね。その時と比べてみてどうですか。 何が違うかと言うと、天変地異のレベルの話じゃなく、それに対処するときの政治と社会の問題だと思います。今回の対応の悪さって、桁外れなんじゃないかな。日の社会全体としての復興に対する、支援に対する態度っていうのがひど

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    fab-lab 2013/04/23
    "福島って、そこに何十万も生活者がいて、そこを生活基盤にしていた国土なんですよ。それが原発一個で失われた。われわれは国土を失ったんです。"
  • ネット上の発言の劣化について - 内田樹の研究室

    個人的印象だが、ネット上での匿名発言の劣化がさらに進んでいるように見える。 攻撃的なコメントが一層断定的になり、かつ非論理的になり、口調が暴力的になってきている。 これについては、前に「情報の階層化」という論点を提示したことがある。 ちょっと長い話になる。 かつてマスメディアが言論の場を実効支配していた時代があった。 讀賣新聞1400万部、朝日新聞800万部、「紅白歌合戦」の視聴率が80%だった時代の話である。 その頃の日人は子どもも大人も、男も女も、知識人も労働者も、「だいたい同じような情報」を共有することができた。 政治的意見にしても、全国紙の社説のどれかに「自分といちばん近いもの」を探し出して、とりあえずそれに同調することができた。 「国論を二分する」というような劇的な国民的亀裂は60年安保から後は見ることができない。 国民のほとんどはは、朝日から産経まで、どれかの新聞の社説を「口

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    fab-lab 2011/08/02
    瓦解せんとする古びた楼閣の上より。貴族は城を壊す薄汚い群衆に、オブラートに包んだ呪いと嘆きの言葉を連ねる。自らも革命の混乱と荒波に身を委ねるしかない運命を案じて。
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