コロナ・ウィルスが日本で猛威を振るい始めた二〇二〇年の三月初めに、この作品を書き始め、三年近くかけて完成させた。その間ほとんど外出することもなく、長期旅行をすることもなく、そのかなり異様な、緊張を強いられる環境下で、日々この小説をこつこつと書き続けていた。まるで〈夢読み〉が図書館で〈古い夢〉を読むみたいに。そのような状況は何かを意味するかもしれないし、何も意味しないかもしれない。しかしたぶん何かは意味しているはずだ。そのことを肌身で実感している。 村 上 春 樹
1991年から読み継がれる不朽の名作。シリーズ新作は、原稿枚数二千五百枚超。全四巻となる大巨編を紡ぎ出す著者に、「物語づくり」について伺いました――。 ――「十二国記」は先生の中で、いつ頃から存在した物語なのでしょうか。それは最初から、今のような物語でしたか。また、『魔性の子』をお書きになった時点で、「十二国記」の物語はどこまでが小野先生の中にあったのでしょうか? 小野 基本的な世界設定は『魔性の子』を書いたときからありました。戴の話については、その当時に考えていた話から基本的なところは変わっていません。その他の話は、依頼をいただいてから考えています。 ――物語を作られる時に、先にストーリーが湧いてくるのでしょうか? 登場人物の言葉には、名言といわれる印象的な台詞がたくさんありますが、シーンが浮かぶのでしょうか、あるいはキャラクターが先なのでしょうか。 小野 物語が先です。着地点を決めてそ
今日、十二月十二日「十二国記の日」に、嬉しいお知らせがあります。 新作の第一稿が届きました! 長年にわたりお待ちいただいた作品は、400字で約2500枚の大巨編になりました。 物語の舞台は戴国です――。 小野先生の作家生活30周年にあたる今年、このような大作を執筆いただいたことに感謝し、 待ち続けてくださった読者の皆様に御礼申し上げます。 これからお原稿の手直し、イラストの準備など本づくりが始まります。 よって、発売日はまだ決定しておりませんが、来年2019年に刊行されることは間違いありません。 第一報はこの公式サイトで発表するとお伝えしておりましたが、 奇しくも「十二国記の日」に、お届けできました。 今後とも詳しい情報を順次ご案内できるよう、邁進いたします。 引き続きご支援いただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。 2018年12月12日 「十二国記」スタッフ一同
第30回 三島由紀夫賞候補作品 候補作品 『リリース』 古谷田奈月 光文社 二〇一六年十月刊 『青が破れる』 町屋良平 河出書房新社 二〇一六年十一月刊 『カブールの園』 宮内悠介 文藝春秋 二〇一七年一月刊 『ビニール傘』 岸政彦 新潮社 二〇一七年一月刊 『スイミングスクール』 高橋弘希 新潮社 二〇一七年一月刊 第三十回三島由紀夫賞候補作品は上の五作品に決定しました。 本賞の今後の日程は下記の通りです。 一、選考会 五月十六日 一、選考結果発表 「新潮」七月号誌上(六月七日発売) 各選考委員の選評も併せて掲載します。 一、授賞式 六月二十三日 三島由紀夫賞規定 [賞 記念品及び副賞百万円] 本賞は下記の規定により、文学の前途を拓く新鋭の作品一篇に授賞する。 一、 選考の対象は、小説、評論、詩歌、戯曲とする。 一、 第三十回は、平成二十八年四月一日
紀伊國屋書店上智大学店 嶋村さん ラムネを一気飲みしたような、清涼感たっぷりの青春小説でした。 私もこんな友達に囲まれて、こんな高校生活が送りたかった! と心の底から思い、地団駄を踏みました。 各章ごとにタイトルの記号が違うことに、最初はどういうことか、頭上に「?」を大きく掲げていましたが、読んで納得! です。 丸善岐阜店 大野さん とても素敵な作品でした。ちょっと不思議なのに考えさせられる、住野さんの本が大好きです。 誰かの想いと繋がりながら毎日を過ごし、生きていると実感させてもらえる作品でした。 人それぞれ個々の能力、個性が違っても、誰かといることで互いに刺激し合い、助け合うことができると教えてもらえた作品でした。
芥川賞作家・又吉直樹さん(36)の小説第2作「劇場」を一挙掲載した、3月7日発売の「新潮」4月号に1万部の緊急重版が決定しました。 文芸誌としては異例の4万部を発行した「新潮」4月号でしたが、発売日当日に売切れる書店が続出、追加注文も殺到したことから、今回の緊急重版が決まりました。前作「火花」を掲載した「文學界」2015年2月号の4万部を超えて、累計発行部数は「5万部」となりました。 5月には、単行本も刊行予定です。 「劇場」について 原稿用紙約300枚の「劇場」は、売れない劇作家・永田が主人公の恋愛小説。ある日、原宿の雑踏で、女優を目指して上京した大学生の沙希と運命的に出会った主人公は、やがて恋人となった彼女の部屋でともに暮らしはじめます。なかなかうまくいかない現実に葛藤を抱えながらも、真剣に生きるふたりの姿がせつなく胸に迫まる作品です。実は又吉さんは、芥川賞受賞作「火花」より前にこの作
「劇場」のゲラに手を入れる又吉直樹氏(今年2月、都内で) 『火花』に続く待望の第2作は“恋愛小説” 又吉直樹「劇場」3月7日発売「新潮」4月号で発表 2015年7月、自身初の長編小説「火花」で第153回芥川賞を受賞した又吉直樹さん(36)。書籍化された『火花』は、累計280万部を突破する大ベストセラーとなり、昨年はドラマにもなりました。 その又吉さんの待望の小説第2作が、3月7日(火)発売の文芸誌「新潮」4月号で発表されることになりました。 タイトルは「劇場」。原稿用紙300枚の長編で、著者にとって初挑戦となる“恋愛小説”です。 本作の発表にさきがけて、執筆中の又吉さんに密着取材したNHKスペシャル「又吉直樹 第二作への苦闘」が、2月26日(日)午後9時より、NHK総合で放送予定です。
――受賞作「縫わんばならん」は九州の島を主な舞台にした、一族四世代の物語です。作品誕生の経緯を教えてください。 去年の新潮新人賞にも応募したのですが、一次での落選がわかったとき、もう一度だけ応募してダメだったら、新潮新人賞は諦めようと思って、構想を練りました。そして思いついたのが、九州の島にある母方の家をモデルにして、一族をめぐる三つの話を連作のような形で書いてみる、というアイデアでした。書き進めていくと、それぞれの話がつながって、話の終わりの余韻が次の話の始まりに重なったり、これまで書いてきたものと違う作品になる手応えはありました。でも同時に、「俺はなんて下手なんだろう」と思い続けていましたが。 特別な取材はしませんでしたが、毎年、盆と正月は実家の福岡に帰って、そこから母の田舎の島と父の田舎の両方に挨拶にいくようにしていました。また、去年は身内に不幸があったので、葬式のために島に行きまし
2016年7月22日、盛岡の「さわや書店フェザン店」の一角に、奇妙な本が並びました。その名は「文庫X」。「どうしてもこの本を読んで欲しい」という書店員の熱い思いが切々と綴られた特製カバー[画像リンク]がかかり、さらにビニールに覆われて、内容はおろかタイトルすら窺い知ることはできません。分かっているのは、税込810円という価格と、小説ではないということだけ。にもかかわらず、文庫Xは展開からわずか2週間で「200冊」を売り上げ、その後も、1000冊、2000冊と爆発的に売れ続けます。 さわや書店フェザン店 購入者からも、「文庫Xを読み始めたけど止まらない!」「さわや書店の担当さん、ありがとう! こういう企画がなければ、一生この本に出会えなかった」「自宅で簡単に本が買える時代に、こういう買い方って、愛に溢れて最高にクールですね」……そんな声が寄せられる中、企画に共鳴した全国の書店でも「文庫X」の
「新潮社の校閲部は“神部門”と呼ばれているらしい」「校閲界の東大だ――」 10月5日から出版社の校閲部を舞台にしたテレビドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」(日本テレビ系)の放送が始まった。それにより、出版業界でも「超一流」と高く評価されている新潮社の「校閲部」に注目が集まっている。すでにブログやツイッターなどのSNSで取り沙汰されているほか、情報番組「ZIP!」をはじめ「読売新聞」、「サイゾーウーマン」、「デジタルTVガイド」といった様々な媒体から取材依頼が寄せられているのだ。 現在、新潮社の校閲部には男女60人が在籍し、連日、あらゆる発行物の校閲作業に当たっているが、数ある出版社校閲部の中でも、とくに彼らに熱い視線が注がれるのはナゼなのか。過去に「週刊新潮」に連載された、ミステリー小説における担当者の指摘を見てみよう。 〈東京から名古屋まで、自動車では高速道路を利用してもこの
2017.6.19 秋田県仙北市で「新潮社写真部のネガ庫から カメラがみた作家の素顔」開催中 2017.6.19 会期終了のお知らせ 2016.8.01 会期終了のお知らせ 2016.7.27 写真展記事掲載一覧 2016.6.28 写真展をご覧いただけない時間帯のご案内(7月) 2016.6.14 写真展をご覧いただけない時間帯のご案内(6月) 2016.6.14 写真展スタート 2016.6.13 作家の肉声を聞く 一覧 公開 2016.6.3 特設サイトオープン 写真展概要 会場:la kagū 2F sōko 会期:2016年6月14日(火)から7月31日(日) 入場料:無料 開館時間:11:00~20:00(会期中無休) (イベント開催時等、一部、ご観覧いただけない時間帯がございます。詳細は新着情報でお知らせします) 主催:新潮社 協力:la kagū 展示内容 新潮社は今年、創
数学を、固有の学問体系にとどめず「すでに分かっていることを、わかり直す」営みであると著者は説明する。 「私」から切り離された世界ではなく、「私」を含む全体に、より深く関与しようという「生の営み」として数学を捉えようとする視点がなにより新鮮である。 「mathematics」の語源はギリシア語の「μαθηματα(マテーマタ)(学ばれるべきもの)」に由来するものであり、これは通常「数学」という意味で捉えているものよりはるかに広い範囲を指し示す言葉であったと著者は言う。ハイデッガーの「学び」に対する解釈、すなわち、「学ぶということは、既に知ってしまっていることを、あらためて学び直すことである」という解釈を示し、数学もまた同じであるというのである。 確かに人間は学びの前にこの世界に生まれ落ち、活動を始めているわけであるから、生きるという動作や営みのうちに既に世界を受け入れ、そのしくみを体得してい
『世界一美しい本を作る男~シュタイデルとの旅 DVDブック』の刊行を記念して、イベントを行います。(終了) ご登場いただくのは、映画の字幕監修をされた、印刷博物館のブックデザイン関連のキュレーションでご活躍の寺本美奈子さんと、今回の「DVDブック」のデザインを手がけてくださった白井敬尚さん。世界のブックデザインについて、たっぷりとお話くださいます。世界中からの美しい本の現物も、相当数お見せする予定ですのでお楽しみに! 「世界一美しい本のデザインとは」刊行記念イベント、無事に終了いたしました。50冊以上の様々な本が並び、壮観でした。ご来場のみなさま、ありがとうございました。 pic.twitter.com/pQp9l3BNP0 — DVDブック『世界一美しい本を作る男』 (@steidl_dvdbook) 2015, 10月 6 白井敬尚×寺本美奈子「世界一美しい本のデザインとは」 会場:l
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