19歳の若者の「よちよち」具合が面白い、といったら失礼か。 も少し言葉を選ぶなら、自分の若かりし頃と重ね合わせ、彼の未熟さが引き起こす失敗や悩みを、一緒になって悲しんだり心配する。ただし、その失敗や悩みのいちいちがみみっちく、くだらない。リベラル的な発言は叩かれなれていないせいか、あっちへヨロヨロこっちでボカスカされる。 そこに普遍性を見出したのか、選者の池澤夏樹は「傑作」だとほめたたえる。彼とは趣味がかなり違うことも分かっているし、わたしなんざ足元にも及ばぬほどの読書経験を積んでいることも分かるが…ホント?面白がるポイント外してた、ボク?と自問したくなる。 主人公はアメリカの若者。カントの黄金律「他人の利益が自分のふるまいの目的となるようになせ」をよりどころにしている。時はベトナム戦争当時、所はアメリカの片田舎、パリ、そしてローマ。フランスという異文化でセイシュンやってる男の子の前に、さ