184センチという、バレーボールの神様から授かったともいえる身長。だが子どもの頃から、抜きん出て背が高いのを理由にいじめられ、「絶望しかありませんでした」と話す。死ぬことも考え、感情を引きつらせていた12歳の少女は、死なずに世の中に「復讐」することを選んだ。生き延びるために選んだバレーは、スポーツでもゲームでもなく、大林素子にとって「生きるか死ぬかの戦い」だった。 負けたら自分は本当に死ぬかもしれないとの思いで臨んだ3度のオリンピック。だが、結果として一つもメダルを手にすることのなかった過去を、「勝てなければ全ておしまい。全否定です」とまっすぐ視線を外さずに言い切る。人当たりも語り口も柔らかいが、自分自身にも取材者にも、甘えや逃げを許さない。耳触りのいい言葉や、ありふれたエモい表現や、予定調和に落とすことを許さない。 自身について「武士でした」と話すオリンピアン大林素子は、どうやってこの地