物理学を修める者なら誰もが手に取る伝説の教科書、『ファインマン物理学』。しかし、この教科書にも一つ弱点がある──「長い」ということだ。 サイエンスライターの竹内薫氏が、この長〜い教科書を読み解く手助けをするために書いた『「ファインマン物理学」を読む 量子力学と相対性理論を中心として』が、このほどブルーバックス化された。 それを記念して、今回は『ファインマン物理学』の本当に優れている点を竹内氏がみずから紹介する。 「良い教科書」の条件 大学の学部生のとき、量子力学がわからなくて閉口した。もともと法学部進学課程から物理学科に「理転」しちゃった変わり種なので、同級生と比べて、理数修行年数が短かったせいもある。 教授が指定した教科書は、フランス人が書いた分厚い上中下3冊本で、やたら数学が出てきて、教授と優等生だけが喜んでいた。この教科書では、あらゆる量子力学の数式が「定理」みたいに証明されるのだが
![ファインマンが日本の物理学者に感じた「物理的な違和感」の正体(竹内 薫)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b82f1f149baf3070523be429b4b5d69fde1fb189/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F6%2Fb%2F1200m%2Fimg_6b660c5db35d321306b8b06991a1234e58669.jpg)