父親らしき男性(実際には近所の電通マンで、アカの他人だったが)に肩車された男の子が空を見上げている。コピーは「大きく育て!」と「ボーナスでつくるくらしの土台」の2つだ。 これは、約50年前の北海道拓殖銀行(地元では「たくぎん」と呼ばれていた)の「すずらん定期」という商品名の定期預金のポスターだ。そして、実は、肩車に乗っている男の子は子供の頃の筆者なのだ。 この頃、銀行は定期預金を中心に預金集めに力を入れていた。日銀のホームページの「主要金利」の表で当時の金利を見ると、公定歩合が6.57%、普通預金が2.19%だから、定期預金はこの間くらいの利息が付いていたのだろう。 インフレとの競争がどうかという問題はあっても、「貯金しよう」という意欲がそこそこに湧く金利が付いていた。 北海道拓殖銀行は後に破綻する訳だから(政府の判断によって預金者は損をしなかったが)、完全に安心してお金を預けていて良かっ