●1個60セントを切るまでに暴落したDRAM 昨年(2008年)は、DRAMベンダーにとっての悪夢、PCエンドユーザーにとってのメモリ天国だった。史上最低と言われるDRAM暴落の結果、バルクのDDR2 DIMMは1GBで1,000円を切るレベルにまで落ち込んだ。エンドユーザーにとっては絶好のメモリ増設のチャンスとなったわけだが、喜んでばかりもいられない。 DRAMベンダーが弱ると、シュリンクによるコスト削減以外のDRAM技術革新のペースが鈍化し、それは最終的にCPUパフォーマンスの足かせとなる。実際に、DDR3メモリへの移行は、DRAM不況で読めない状況になってしまった。また、DRAMベンダーの投資が冷え込むことで、1~2年後に今度はDRAM供給不足による高値のバックラッシュが起こる可能性もある。 2008年のDRAM価格がいかに異常だったかは、その価格を見てみるとよくわかる。12月のDR
●半導体製造がよりリスキービジネスになった AMDはシリコン製造Fabをスピンオフして、ファブレスのビジネスモデルへと転換する。これは、半導体業界の大きなトレンドを象徴している。それは、半導体製造の分業化だ。 半導体メーカーは、自社Fabを持つIDM(独立半導体メーカー)と、自社Fabを持たないファウンドリに二分されている。AMDの創設者でCEOだったW.J.(Jerry) Sanders, III(ジェリー・サンダース)氏(現名誉会長:Chairman Emeritus)の有名なセリフ「Real men have fabs(真の男ならFabを持つ)」に表されているように、これまでは、IDMが本格的な半導体メーカーで、ファブレスは半人前のようなイメージがあった。 しかし、今、業界には地殻変動が起きている。AMDだけでなく複数のIDMが、ロジック半導体製造から脱落して行きつつある。一例を挙げ
●ファブを分離して製造会社を設立 10月7日、AMDは“Asset Smart”戦略に関するカンファレンスコール(電話を中心にした説明会)を開催し、かねてから噂されていた製造部門の分離を含む事業再編計画を発表した。それによると要点は2つ。 1.製造部門の分離 AMDは製造部門の施設、知的財産権、従業員、負債を分離、アブダビの投資会社Advanced Technology Investment Company(ATIC)と共同で設立する半導体製造のファウンダリ会社(暫定的にThe Foundry Companyと呼ばれる)に移管する。ATICはThe Foundry Companyの経営権の見返りとして、AMDに7億ドルを支払うほか、The Foundry Companyに14億ドルを出資する。 The Foundry Companyは、AMDとATICのみを株主とする。両社は対等の議決権を
●LPIA CPUがPC市場を侵食するシナリオ IntelのPC向けCPU事業にとって最大の敵は「ムーアの法則」だ。なぜなら、PC CPUは、ムーアの法則に逆襲されつつあり、もしかすると、ムーアの法則によってビジネスがひっくり返されるかもしれないからだ。具体的には、高性能かつ高価格のPC向けCPU系列の出荷量が減り、低性能だが低価格のローパワーCPU系列(現在のブランドはAtom)がPC市場に浸透して行く可能性がある。これは、IntelだけでなくAMDも含めた、PC向けCPU全体が直面している分岐点だ。 Intelは、新設計のLPIA(Low Power Intel Architecture)CPUである「Atomプロセッサ」を、携帯機器だけでなく、ローコストPCセグメント向けにも投入した。携帯機器向けのコードネームが「Silverthorne(シルバーソーン)」で、ローコストPC向けが「
英国ARMが開発した32bit RISC型のCPUコア「ARMコア」は、世界中の携帯電話機に標準的に採用されているCPUコアである。PCのCPUアーキテクチャがIntelのx86系に統一されているように、携帯電話機のCPUアーキテクチャは現在では、ARMアーキテクチャにほぼ統一されている。 ARMが設立されたのは'90年のことだ。Intelの設立が'68年だから、その20年ほど後にARMは誕生したことになる。最初のオフィスは、英国ケンブリッジ郊外の納屋を改造したもの。発足当時の技術者は12名。それから17年後の現在、ARMは全世界に1,700名の従業員を有する企業に成長した。 ご存知の方が多いと思うが、携帯電話機の出荷台数はPCの出荷台数よりもはるかに多い。2006年の全世界の携帯電話機出荷台数は9億9,000万台であり、2007年には10億1,000万台に達しようとしている(アイサプライ
●キャッシュになるDRAMとテープになるHDD PCのメモリ&ストレージ階層の役割が変わりつつある。DRAMメインメモリはディスクキャッシュ的な役割に変わりつつあり、HDDは光学ディスクや磁気テープの位置に近づきつつある。そして、その中間でフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ(NVM:Non-Volatile Memory)がディスクの役割を担う可能性が出てきている。 この変化をもう少し詳しく説明すると次のようになる。以前は、ランダムアクセスの速いDRAMメインメモリが、プログラムの実行メモリだった。そして、ある程度のランダムアクセス性能と高速なシーケンシャルアクセス性能を持つHDDが、データとプログラムのファイルを格納するディスクドライブ。シーケンシャルアクセスはいいがランダムアクセスが遅いテープや光学ドライブが、大容量のデータを格納する外部ストレージだった。 しかし、今後のPCのメモリ
9月4日 発表 株式会社東芝と米SanDiskは4日、三重県四日市市の東芝四日市工場に建設中だったNANDフラッシュメモリ製造の新棟「第四製造棟」が完成したと発表した。 この第四製造棟は、NANDフラッシュメモリの需要拡大に対応するため、2006年8月より着工を開始していた。当初の予定では7月に完成予定だったが、わずかに遅れた。 新棟では、12月より56nmプロセスで量産を開始し、2008年3月以降、順次43nmプロセスに移行する予定。2008年後半には月産8万枚まで生産能力を拡大させる。フル生産時には月産21万枚の生産能力を持つとしている。 さらに、新棟は災害対策も考慮。地震の揺れを3分の1に抑えられる免震構造や、落雷などによる瞬間的な電圧低下に対応できる超伝導電力貯蔵装置を採用している。 □東芝のホームページ http://www.toshiba.co.jp/ □ニュースリリース ht
半導体製品であるCPUのパフォーマンスは指数関数的に向上して行くのに、機械部品であるディスクストレージのパフォーマンスはなかなか上がらない。また、ディスクストレージはシーケンシャルな読み書きは高速になっているが、ランダムな読み書き性能はほとんど向上しない。つまり、ディスクドライブはCPUから見ると、より低速でアクセスするのに遠いデバイスになりつつある。特にランダムアクセスではその傾向が強まっている。 さらに、クライアントWindowsは64-bit移行がMicrosoftの思惑より遅れたため、メインメモリ搭載量には実質的に3GBの制約が課せられている。そのため、今後、一般ユーザ向けのメインストリーム&バリューPCでは、メインメモリの量を増やし続けて、ディスクアクセスを減らすことが難しくなる。 一方、ディスク上のデータは、頻繁に読み書きされるホットな小部分と、連続的なアクセスが時たま行なわれ
現在PCのメインメモリとして幅広く使われているDRAMは、'60年代にIBMで開発されたものだ。汎用品としてのDRAMチップを初めて製品化したのがIntelで、'70年のことである。以来、DRAMは「産業のコメ」と言われるほど普及した。 その原動力となったのは、なんといっても構造が単純なため高集積が可能で、ビット単価が安いことだ。1つのセルを1個のトランジスタと電荷を蓄えるキャパシタで構成可能なDRAMは、トランジスタのみでデータを保持するSRAMに比べ、セルサイズが小さい。加えて、書き換え回数や読み出し回数に制限がなく、そこそこ高速であることもDRAMのメリットだ。最近では、同じようにセル構造が単純なNANDフラッシュメモリが集積度やビット単価、さらには製造プロセスの微細化で上回るようになったが、書き換え可能回数に制限があるというだけでも、PCの主記憶には使えない。 だが、だからといって
●Wiiのコンセプトと深く結びついたWii Fit 任天堂は、『Wii』戦略の次のステップのカギとなるアプリケーション『Wii Fit』の概要を発表した。Wii Fitは、以前は“Wii Health”(ヘルスパック)と呼ばれていたソフトで、BMI(ボディ・マス・インデックス)指数の測定などによる健康管理と、フィットネスゲームを提供する。そのため、『Wiiバランスボード』と呼ばれる、体重計兼用のバランス入力デバイスを同梱する。Wiiバランスボードでは重量測定だけでなく、ボード上での体重移動を測定して、Wiiの入力に使うことができる。体重を使った、新しい入力インターフェイスデバイスだ。 任天堂は、ゲームショウであるE3のカンファレンスで、宮本茂氏(代表取締役専務)が紹介するメイントピックスに、Wii Fitを持ってきた。それは、Wii FitがWiiの今後を占うカギとなるアプリだからだ。Wi
ASUSTeK、世界初のSideShowノートを国内販売 ~1kgの1スピンドル機とランボルギーニモデル第2弾も 3月中旬 発売 ASUSTeK Computerは、「Windows SideShow」に対応した初のノートPCを始め、4機種Windows Vista搭載機を3月中旬より国内発売する。価格はいずれもオープンプライス。 ●SideShow対応の「W5Fe」 W5Feは、Windows Vistaの新機能であるWindows SideShowに対応する初のノートPC。店頭予想価格は224,800円前後となる見込み。 SideShowは、サブディスプレイを通じてPC内の情報にアクセスしたり、PCの機能を利用するデバイスで、携帯電話のように、メールの新着を確認したり、メディアファイルを再生したりできる。 W5Feは天板に2.8型の320×240ドット/65,000色表示に対応したTF
1月30日に出荷が開始されたWindows Vistaの影響によって、市況が回復したかに見えたPCの売れ行きが、発売第2週目にして、早くも失速していることがわかった。 株式会社BCNが全国2,280店舗の量販店のPOSデータを集計しているBCNランキングによると、発売第1週目となる1月29日~2月4日におけるPCの販売台数は、前年同週比6.1%増となり、2006年2月からの前年割れの状況を脱皮したが、発売第2週目となる2月5日~11日の集計では、前年同週比3.4%減と前年割れに逆戻りとなった。 一部メーカーでは、「出荷台数では前年実績を上回っており、落ち込みは一時的な現象」と強気の姿勢を崩さないが、発売直後の前年割れに、懸念の色を見せる業界関係者も少なくない。 形状別にみると、ノートPCは前年同週比2.8%増と前週に引き続き前年実績を上回ったが、前週の16.0%増という2桁の高い成長率に比
前回、Windows Vista RTMファーストインプレッションの記事を掲載した。文末に(つづく)とあったのは、実は本音で書き出すと趣旨から外れてしまう内容になるため、抑えながら書いていたのだ。 今回はその抑えてた部分を一気に書く。市場としてはこれから盛り上がると言うのに、水を差すのは申しわけないと思うが、筆者一個人の意見として読んで頂ければと思う。 Text by Kazuhisa Nishikawa 前回、いまどきのマシンとして使ったのは、エプソンダイレクトの「Endeavor Pro4000」。確かにWindows Vistaは快適に使えたものの、CPU:Core 2 Duo E6600(2.40GHz) 、HDD:400GB/SATA II/7,200rpm、メモリ:2GB(1GB×2) PC2-5300 デュアルチャネル DDR2 SDRAM 、ビデオ:ATI Radeon X
■後藤弘茂のWeekly海外ニュース■ 任天堂 岩田聡社長インタビュー(1) マンマシンインターフェイスを直感的にすることがカギ ついに新プラットフォームWiiを発売した任天堂。Wiiは、従来のゲーム機の進化法則から外れることで、これまでゲームをプレイしなかった新ユーザーの開拓を狙う。その下地となっているのは、ニンテンドーDSでの成功。任天堂の岩田聡氏(代表取締役社長)に、同社の戦略とその背景について伺った。 ●半導体の法則から外れるためにビジョンを打ち出す 【Q】 あなたのスピーチを、2005年から連続で聞いて来ました。GDC(Game Developers Conference)、E3(Electronic Entertainment Expo)、東京ゲームショウ(TGS)、それから今年(2006年)9月のWii Previewイベント。 【岩田氏】 フルコースでずっと見ていただいてい
■後藤弘茂のWeekly海外ニュース■ 任天堂 岩田聡社長インタビュー(2) DSとは異なるアプローチでゲーム人口拡大を目指すWii いよいよ新ゲーム機「Wii」を投入した任天堂。Wiiの狙いは、ニンテンドーDSと同様にゲーム人口の拡大。そのために、WiiではTVチャンネルのメタファを借りたチャンネルシステムでのコンテンツも提供する。任天堂の岩田聡氏(代表取締役社長)に、Wiiの戦略とその背景について伺った。 ●ゲームの定義を拡大するDSとWiiの戦略 【Q】 2005年のゲーム開発者向けカンファレンスGDC(Game Developers Conference)で、今のゲーム産業では、ゲームの定義自体がどんどん狭くなっているとスピーチしましたね。ニンテンドーDSで行ない、Wiiで行なおうとしていることは、まさにその逆、ゲームの定義を広げることだと解釈しています。 【岩田氏】 その通りです
●SCEAのトップがSCEIの社長に就任した人事 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)の顔が変わった。プレステの父である久夛良木健氏が代表取締役社長から代表取締役会長に就任。代わって、SCEIの米国子会社であるSCEA(Computer Entertainment America Inc.)のCEOである平井一夫氏がSCEIの代表取締役社長兼グループCOOに就いた。久夛良木氏はSCEIのグループCEOに留まるが、平井氏が社長となったことで、経営方針にも変化が現れることは確実だろう。 平井氏はSCEAの顔で、米国で開催されるゲーム関連ショウ「E3(Electronic Entertainment Expo)」の際に行なわれるSCEAのカンファレンスでも主役を務めてきた。米国のゲームメディアでは「Kaz」のニックネームで親しまれている。平井氏が、SCEIの中核に入ったことで、米国
●伝統的ゲーム機からの脱却が今回のテーマ 来週(11月11日)登場する、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「PLAYSTATION 3(PS3)」。1年先行するMicrosoftの「Xbox 360」と、若干ずれる任天堂の「Wii」と合わせて、3社の“次世代機”が年末までに揃うことになる。構図だけを見ると、PlayStation 2、Xbox、GAMECUBE、Dreamcastで争った2000年前後のゲーム機戦争のリバイバルだ。しかし、今回のゲーム機戦争の中身は、前サイクルとは大きく異なっている。 ○各社とも“脱・伝統的ゲーム機”を強く指向している ○各ベンダーが目指す方向は大きく異なる ○その結果ハードウェアやソフトウェアの作り方が大きく変わった そして、その結果として今後の展開は、これまでとは違った方向へと向かい始めると推測される。 ○ネットワーク経由のサービスへと比
●マルチコア化はCPU業界の規定路線 「マルチコアプログラミングがなぜ重要か。将来の全てのプロセッサはマルチコアチップになるからだ」、「これからはシングルコアのパフォーマンスは上がらない。パフォーマンスはマルチコアで上がる」 米Stanford Universityで開催されているチップカンファレンス「HotChips」のマルチコアプログラミングのチュートリアルでは、登壇する研究者が次々とマルチコアへのダイレクションがプロセッサ業界全体の決定的な方向であることを強調する。過去2年ほどのCPUカンファレンスでは、こうしたトーンで、業界挙げてのマルチコアへの急転換がうたわれてきた。 前回の記事でレポートしたように、マルチコアへとCPUが向かうのは、その方が理論上は効率的だからだ。CPUコア単体を拡張し続けることは、単純にパフォーマンスの面から見るとそれほど効率がよくない。「ポラックの法則」とI
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