前回,仏教に縁のある厩戸皇子(聖徳太子)と秦氏について語ったので,このあたりで世界3大宗教の一角を占める仏教を諜報謀略論の俎上にのせる。抹香臭い話はさておき,仏教の歴史に埋め込まれたインテリジェンスを解きほぐしていきたい。近現代の社会に甚大なる影響を及ぼした仏教思想の底流には,「個人,企業,国家の方針,意思決定,将来に影響を及ぼす情報・知識を収集し,活用する」というインテリジェンスの連鎖が存在する。 宇宙の不変法則を説いた仏教 まずは仏教の基本から。仏教とは歴史的に実在した仏陀釈尊が説いた法と教えを実践する宗教である。シャカ族の王子,ゴーダマ・シッダールタは放浪の旅に出て悟りを開き,釈迦牟尼世尊(しゃかむにせそん)と呼ばれるようになった。一神教では「God」が真理だが,釈尊は宇宙の不変法則(因果律)をダルマととらえ,それを真理とした。 では,仏教の真理とは。 『これあれば,かれあり。これ生