紀元前5世紀ごろのインドで生まれ、中国、朝鮮半島を経由して日本へと伝えられた仏教。その教えには「無常」や「縁起」といった普遍的な面がある一方、時代や地域によって変化してきた部分も少なくないそうです。仏教は一体どのようにして生まれ、どんな変遷を遂げてきたのでしょうか。アジア諸国の仏教と文化を研究する、石井公成先生にお聞きしました。 ――中国はもともと儒教の国なので、インドから仏教が持ち込まれた時に反発が生じたという話を聞いたことがあります。 家族を捨てるとは何事だと。ほら、お釈迦様は出家をして悟ったでしょう。父母を大事にして跡取りを残し、一族を栄えさせるのが儒教だから、家族を捨てるのはとんでもないことなんです。 それに対して仏教側は必死で言い訳をする。『孝経(こうぎょう)』という親孝行を説いた儒教の経典に、一番の親孝行は親を有名にすることだと書いてある。お釈迦様ほど親を有名にした人がいるかと