われわれはガ・ザ・ダ・バ行の言語音を仮名文字にあらわすとき、それぞれ「か」・「さ」・「た」・「は」行の仮名の右肩に二つの点(双点)を付けて、もとの仮名とは別の字体として扱っていますが、本来濁点は記号の一種で、句読点などと同類のものでした。書かれた文章を区切ったり、意味を正確に伝えたり理解したりするために、あとから読み手、ときには書き手が付け加えた記号であったのです。ですから、古い文献に句読点がなかったり、少なかったりするばかりか、濁点までも不完全にしか付けられていない、あるいは全くないものがあることにも納得がいくでしょう。 この記号としての濁点の起源を調べると、漢字の声調を注記する際に用いられた「声点(ショウテン)」にさかのぼります。周知のように漢字は中国から伝わったもので、その漢字の声調(いまの中国語でいう1声、2声などという声調)については、古く漢字の四隅に点を加えることによって注記さ