マリー・アントワネット・オーセナック・ド・ブロイ王女(Princess Marie-Antoinette Aussenac de Broglie, 20 July 1883 - 31 October 1971)という、ポルトガルの貴族出身のピアニストがいた。ジャック・ド・ブロイ王子と結婚したことによって、1933年に離婚するまでのおよそ7年の結婚の間、王女となった。 オーセナック・ド・ブロイは、出生地ポルトガルでフランツ・リストの高弟であるホセ・ヴィアナ・ダ・モッタ(José Vianna da Motta, 1868-1948)に学び、パリで本格的な演奏活動を始めるとサン=サーンスやヴァンサン・ダンディ、フォーレなど、錚々たる音楽家から賛辞を寄せられた。この若い時期のグラズーノフやラフマニノフなどのサロン風小品を演奏した記録がピアノロールに残されているが、あくまでティピカルな貴族階級の上
