当然のことではあるが、辞典では細心の注意を払ってことばの意味を記述するようにしている。だが、そのようにしたはずなのに、刊行した後で正確さに欠ける語釈だったと悔やまれるものが全く無いとは言い切れない。今回はそんなことばの話である。 筆者にとっては、たとえば、2000年~2001年に刊行した『日本国語大辞典辞典 第2版(以下「日国」と略す)』の「スコップ」という項目がそれであった。語釈の内容は実に簡単だ。「小型のシャベル」、これだけである。もちろんこの語釈のどこがおかしいのかとお思いになる方も大勢いらっしゃることであろう。だが、ちょっと待てよ、と思った私を支持してくださる方もやはり大勢いらっしゃるのではないかと思うのである。 この語釈のどこが問題なのか。それは「スコップ」を「小型のシャベル」だと言い切っている点である。 私は従来、「スコップ」のほうが「シャベル」よりも大きいと思っていた。
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