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ブックマーク / club.japanknowledge.com (17)

  • 日本語、どうでしょう? - 第203回 「スコップ」と「シャベル」:シャパンナレッジ

    当然のことではあるが、辞典では細心の注意を払ってことばの意味を記述するようにしている。だが、そのようにしたはずなのに、刊行した後で正確さに欠ける語釈だったと悔やまれるものが全く無いとは言い切れない。今回はそんなことばの話である。 筆者にとっては、たとえば、2000年~2001年に刊行した『日国語大辞典辞典 第2版(以下「日国」と略す)』の「スコップ」という項目がそれであった。語釈の内容は実に簡単だ。「小型のシャベル」、これだけである。もちろんこの語釈のどこがおかしいのかとお思いになる方も大勢いらっしゃることであろう。だが、ちょっと待てよ、と思った私を支持してくださる方もやはり大勢いらっしゃるのではないかと思うのである。 この語釈のどこが問題なのか。それは「スコップ」を「小型のシャベル」だと言い切っている点である。 私は従来、「スコップ」のほうが「シャベル」よりも大きいと思っていた。

    日本語、どうでしょう? - 第203回 「スコップ」と「シャベル」:シャパンナレッジ
  • 日本語、どうでしょう? - 第202回 「雪辱を□□□」 :シャパンナレッジ

    今回の表題は問題でもある。「雪辱を□□□」の□に入る3文字のことばは何か? 正解はと何かと言うと、「果(は)たす」である。 つまり、「雪辱を果たす」で、「昨年の雪辱を果たして優勝した」などと使う。「以前受けた恥を、仕返すことによって消し去ること。現代では多く、競技などで、前に負けたことのある相手を破って、負けた恥をすすぐことをいう。」(『日国語大辞典 第2版』)という意味である。 ところが、最近来の言い方ではない「雪辱を晴らす」と言う人が増えているようなのである。実際に、インターネットで「雪辱を晴らす」を検索するとかなりなヒット数がある。 文化庁が発表した2010(平成22)年度「国語に関する世論調査」でも、「雪辱を果たす」を使う人が43.3パーセント、「雪辱を晴らす」を使う人が43.9パーセントと、わずかではあるが「晴らす」派が多くなっている。 「雪辱」とは、辱(はじ)を雪

    日本語、どうでしょう? - 第202回 「雪辱を□□□」 :シャパンナレッジ
  • 週刊東洋文庫1000-東洋文庫273『木葉衣・鈴懸衣・踏雲録事 修験道史料1』(行智著、五来重編注):ジャパンナレッジ

  • 日本語、どうでしょう? - 第172回 「真逆」:シャパンナレッジ

    「真逆」と書いて、「まぎゃく」と読む。「まさか」ではない。後に様が付くと、「まさかさま(まっさかさま)」になるがそれとも違う。 「まぎゃく(真逆)」は2002、03年頃から急に使われるようになり、2004年の流行語大賞の候補にもなったことばである。なぜその頃からはやり始めたのかよくわかっていないのだが、一気に広まった感がある。 こうした状況を受けて、平成23年(2011年)度に文化庁が実施した「国語に関する世論調査」でも、使うかどうかという調査が行われている。 その調査報告を見ると、全体では「真逆」と言う人22.1%、言わない人77.4%であるが、世代別に見ると男性では30代以下、女性では20代以下で言う人が5~6割前後と圧倒的に多くなる。だが、年齢が上になると使う人の割合が急激に少なくなり、60歳以上では男女とも1割未満である。 「真逆」は、「逆」に「真」を付けて逆であることを強

  • 日本語、どうでしょう? - 第153回 「ゲラ」:シャパンナレッジ

    第146回で「ルビ」について書いたら、「ゲラ」についても書いて欲しいというリクエストをいただいた。だがどちらも印刷用語ではあるものの、「ゲラ」は「ルビ」以上に馴染みのないことばかもしれない。 編集に携わる者にとっては「ゲラ」はごくふつうに耳にすることばで、「ゲラを読む」とか「ゲラに赤字を入れる」などといった使い方をしている。つまり校正を行うための校正刷りの意味である。ふつうは「ゲラ」と呼んでいるが、「ゲラ刷り」を略したことばである。 では、「ゲラ」とは何かと言うと、印刷所で組み終わった活字の版を入れておく、底の浅い木製の盆のことをかつてそう呼んでいたのである。これは英語のgalleyに由来している。galleyなどということばを聞いたことがないとおっしゃる方も、古代から中世に地中海で用いられた多数のオールを持つ軍用船、ガレー船の意味でもあると言えば、なるほどと思われるかもしれない。

  • 日本語、どうでしょう? - 第151回 常用漢字表では「学校」は読めない:シャパンナレッジ

    みなさんは「学校」を何と読んでいるだろうか。今さら何を言っているんだ。「ガッコウ」に決まっているではないか。そうお答えになる方がほとんどであろう。実際、国語辞典を引くとほとんどが見出しの語形は「がっこう」になっている。だが、改定常用漢字表で「学」の字を見ると、音は「ガク」で、「ガッ」という読みは示されていない。示された語例も「学習、科学、大学」だけで「ガッ」と読む語例はひとつもない。いったいこれはどうしたわけなのであろうか。 そもそも何故「ガクコウ」が「ガッコウ」と読めるのかというと、第144回の「『すいぞっかん』は大阪のおっちゃんだけ?」でも書いたのだが、二拍の漢字であとの方が「ク」となるものは、そのあとにkの音で始まる漢字が続くと促音化、すなわち、小文字の「ッ」で表記される発音になることがある。この現象は「ク」で終わる漢字だけではなく、「キ・ツ・チ」で終わる漢字などにも見られる。たと

  • 日本語、どうでしょう? - 第144回 「すいぞっかん」は大阪のおっちゃんだけ?:シャパンナレッジ

  • 日本語、どうでしょう? - 第123回 《「こぢんまり」が本則》:シャパンナレッジ

    今回は筆者のささやかな疑問にお付き合いいただきたい。 最近のパソコンの文書作成用ワープロソフトはたいへん親切で、「ここはこぢんまりとしたいいお店だ」と書こうとしてつい「こじんまり」と入力してしまうと、表題のような文章が出て仮名遣いの間違いを指摘してくれる。 確かに現代語の仮名遣いのより所となっている「現代仮名遣い」(昭和61年内閣告示)では、「5 次のような語は「ぢ」「づ」を用いて書く」として、「二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」」の語例の中に「はなぢ(鼻血)」「そえぢ(添乳)」などとともに「こぢんまり」を掲げている。(「現代仮名遣い」の詳しい内容は文部科学省のホームページを参照されたい) だから「こぢんまり」が則であるということに異議を差し挟む余地などないのかもしれないが、どうしてもそれで当にいいのだろうかという疑問が消えないのである。 というのは、一般に言われているこの語

  • 日本語、どうでしょう? - 第102回 「行く」は「いく」か?「ゆく」か?:シャパンナレッジ

    最近の小学生向けの国語辞典は、すべての漢字にふりがなを付けたもの(総ルビ)が主流になっている。このコラムでも再三紹介している「辞書引き学習」を、小学校低学年から、場合によっては幼稚園児から始める子どもが増えているためである。 編集部でもそうした動向を受けて、小学生向けの辞典類は新刊も改訂版も極力総ルビにするようにしている。漢字にふりがなを付ける作業は、データさえあれば最近はソフトを使ってある程度自動でできるので、それほどたいへんではない。だがそうではあっても、最終的な判断はやはり人間がしなければならないものがけっこうある。特に読み方の揺れている漢字がやっかいだ。 たとえば、「行く」。「いく」か?「ゆく」か?といった問題である。話しことばとしてはどちらでもよいのだが、1つだけ決めて活字にして示すというときはけっこう悩む。 「いく」「ゆく」はともに上代から用いられていて、ほとんど意味は同

  • 日本語、どうでしょう? - 第100回 「子供」と書くか「子ども」と書くか?:シャパンナレッジ

    「常用漢字表」は一般の社会生活で使われる漢字の目安を示したものである。ところが、あくまでも筆者の好みなのだが、使うのにいささか抵抗を感じる漢字がないわけではない。たとえば「子供」という表記がそれである。  「常用漢字表」では「供」の訓「とも」の例欄に「供、子供」が掲げられていて、公用文などでも何ら問題なく使えることになっている。にもかかわらず、つい「子ども」と書きたくなってしまうのだ。どうしても、「供」が当て字のような感じがしてならないからである。 「子ども」は元来は親に対する「子」の意味で、複数を表す語であった。たとえば、『万葉集』に見える山上憶良の有名な歌、「瓜(うり)はめば 胡藤母(コドモ)思ほゆ 栗(くり)はめば ましてしぬはゆ」(巻5・802)の「こども」は一人っ子ではない。それというのも、「ども」は複数を表す接尾語だからである。ところが「常用漢字表」に載せられた漢字「供」に

  • 日本語、どうでしょう? - 第98回 「五十音図」があぶない!? :シャパンナレッジ

    高校の国語の教師をしている知人から、最近の高校生の中に「五十音図」が書けない生徒がいるという話を聞いた。古典の授業で古語動詞の活用を教えようとして異変に気づいたのだという。「五十音図」はア行、カ行、サ行…とあり、各行が母音によってア段、イ段、ウ段…となるように整然と配列されているのだが、その関係が理解できていないのだそうだ。そのため、動詞の四段活用とか上二段活用などと言ってもなかなか理解できないらしい。 その話をさらに日語学を専門にしているある大学教授にしたところ、そんなことは今始まったことではないという驚くべきことを聞かされた。その大学教授は非常勤講師として出講している大学でやはり異変に気づいたのだそうだ。そのため、大学1年生の前期の試験では学生に「五十音図」を埋めさせているというのである。しかも、そのテストで正答率が高いのは外国人留学生なのだそうだ。 電子辞書が普及して、アルファ

  • 日本語、どうでしょう? - 第92回 蛇に○○まれた蛙:シャパンナレッジ

    昨年定年を迎えた辞典編集部の先輩と久しぶりに会ったとき、いきなり下記のようなクイズを出された。 「蛇に○○まれた蛙」の○○に入る平仮名2文字は何?  何を今更と思いながら、「そんなのニラでしょ、にらまれた蛙に決まっているじゃないですか」と答えたところ、「ブッブー」とやられてしまった。「そうか、君もそう思い込んでいるんだね。自分が編集した辞典をよく見てごらん」と言われたので、いささかムッとしながら『日国』を引いてみた。すると、見出し語の形は「蛇に見込まれた蛙」になっているではないか。 そんなバカなと思いつつ、『大辞泉』『広辞苑』『大辞林』の最新版も引いてみた。するとすべて「見込まれた蛙」なのである。 狐につままれたような気分で、いろいろ調べてみると、どうやら「蛇に見込まれた蛙」の方が来の形で、「蛇ににらまれた蛙」は比較的新しい言い方であるということがわかった。「見込む」は現在では、

  • 週刊東洋文庫1000-東洋文庫479『中華名物考』(青木正児著、戸川芳郎解説):ジャパンナレッジ

    朝刊の川柳だったと思うが、「隣国は替えられない」というような内容の句が載っていて、思わず膝を叩いた。確かに、「イヤだから引っ越す」ということは不可能だ。 うまく付き合うには、相手を知るほかない。そこで格好の書となるのが、中国を愛してやまない青木正児(まさる)――大正から昭和の中国文学者によるエッセイ『中華名物考』である。 これがなかなか味わい深い。 たとえば、かつて北京で見た中秋の名月に思いを馳せながら、月に兎がいるとの伝説の家が中国であることを伝え、帝釈や「楚辞」の話に飛び、さらには中国固有の伝説、「月中に蝦蟇がいる」なんて話まで出てくる。博覧強記とはこのことで、教養人らしいエッセイに、むむむと唸ってしまうのである。 同書の中に「支那という名称について」の一節を見つけ、さらに唸った。 氏によれば、「支那」の語が広まったのは江戸以降のこと。 〈元来この「支那」という名称は、古代の印度人

  • 週刊東洋文庫1000-東洋文庫135、142『明治東京逸聞史1、2』(森銑三著):ジャパンナレッジ

    1963年に刊行がスタートした『東洋文庫』シリーズ。日中国、インド、イスラム圏などアジアの古典・名著がズラリそろって、その数なんと約700冊! 後世にぜひ引き継いでいきたい、まさにアジアの文化遺産なのです。 そんな珠玉の作品の中から、毎週1作品をピックアップ。1000文字のレビュー、そしてオリジナルカルテとともに、あなたを面白くて奥深い「東洋文庫」の世界へいざないます。 わが家にが来て半年が過ぎた。2匹のたちは「前からいましたけどなにか」というようなふてぶてしい態度で、わがもの顔である(今もキーボードの前をウロウロしている)。この存在感たるや、私の家庭内でのそれをはるかに凌駕している。……気になって、ジャパンナレッジの「東洋文庫」で「」および「犬」を全文検索してみたら、面白い記事を『明治東京逸聞史』から発見。 〈東京十五区で飼っている犬は千八百六十七、は三千二百九十で、この

  • 日本語、どうでしょう? - 第57回 「薫る」の歴史的仮名遣い:シャパンナレッジ

  • 日本語、どうでしょう? - 第54回 ひらがなの字体にも違いがある:シャパンナレッジ

    前回「令」となど、漢字の字体について書いたが、ひらがなにもデザインによる字形の違いがあるということをご存じだろうか。そのため、ひらがなを学び始めた子どもが印刷文字を見て迷うということがけっこうあるらしい。 たとえば一般的な印刷文字である明朝体のなどがそうで、これらを小学校の教科書で使われている手書き文字に近い教科書体で示すと、となる。微妙な違いだがどこが違うかおわかりだろうか。  明朝体では筆の流れでつながっている部分が教科書体になると離れているのである。このような違いをどう考えるべきなのか、幼児向けの国語辞典(『ことばのえじてん』)を編集していたときに、文部科学省に問い合わせたことがある。するとそれに対する回答は、こう書かなければいけないという決まりは無いという、極めてあっさりしたものであった。 弊社では、以前から幼児や子ども向けの雑誌や絵、辞典、図鑑などでは、子どもが混乱しない

  • 週刊東洋文庫1000-東洋文庫592『唾玉集 明治諸家インタヴュー集』(伊原青々園/後藤宙外編著、紅野敏郎解説):ジャパンナレッジ

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