休日を使って辰巳ヨシヒロ『劇画漂流』上下巻を一気に読み終える。なんでもこの「裏まんが道」的作品が、まんだらけの目録に10年以上に渡り連載され青林工藝舎から単行本化される前に、モントリオールの出版社から英語版、他にスペイン、フランスでの出版オファーまで舞い込んだそうです。昨年が劇画生誕50周年だったようで、幻のオリジナル版『新宝島』復刻(近日発売)等でファンの度肝を抜く、最大規模の趣味出版社小学館クリエイティブからも、辰巳ヨシヒロを始め劇画工房の源流となったメンバーによる短篇漫画雑誌「影」と「街」の創刊号が今年に入ってセットになって復刻されています。玉音放送で幕を開け、戦後の混沌期に神様手塚治虫の漫画によって勇気づけられ、貸本産業が活気づくにつれ、一人の投稿少年がプロの漫画家として自立してゆくまでを時代の雑踏込みで描くという、まさにもうひとつのまんが道。手塚先生に憧れた同時代の少年の物語が、