1905年刊行、チェスタトンの名を一躍高めた一冊。当時の知識人(H.G.ウェルズやバーナード・ショーなど)を「異端者」として、自らの考えの正統性を示した。後に書かれる『正統とは何か』の予稿集のような位置づけらしいが、異端と正統、信仰や家族の重要性、似非科学への批判など、実際はチェスタトンのテーマがすでにここに凝集されていると思えた。勇気、専門性に関するあたりも、チェスタトンを踏まえた上でこちらの考えを進めてゆくことができる。 チェスタトンの文章は文脈で成り立っているから、ごく一部を抜き出して提示するのがとても難しい。読んでいる間は、とてもいいことが書かれていると感じるのに、抜き出せないから人に素速く教えられない。読んでもらうしかない。それに、チェスタトンの説く正統は、すなわち正気でいるためには信仰を持ち、家族を大切にしなければならないということなのだけれど、これを普通に実行している人はチェ