もちろんあのとき、あの場所にいたものでないと体験できない。だが、いたとすれば現場で、どういう追い詰められ方をしていたか、他の国にどんなに助けてほしかったか。どんなに彼らが、どうしようもない追い詰められた状況だったか。その何十分の一かを人に伝えるために、この映画があると思う。映画通りだったのか、違うのか、それは今の僕たちにはわからない。 しかし、その「恐怖」の前に、つまり1分単位で身が削られていく恐怖の前に、世界の政治や経済の構造を考えることすら空しく、理屈を言うなという声が聞こえる。 1994年の春、大虐殺。 ルワンダは死体の山になっていた。 あのとき僕はどこで何をしていたのかと思う。 わかっている。どうせろくなことはしていなかった。何をしていなかったとしても、していたとしても、どうせ自分には彼らに何もできなかったろう。 正気を取り戻すと僕はパンフレットを読み、もう一度ルワンダが何だったの