『<つまずき>のなかの哲学』(山内志朗著、NHKブックス)を読む。 スフィンクスの出した謎(「朝は四本足、昼は二本足、夕方は三本足で歩く動物は何か」)にオイディプスは「人間」と答えることでスフィンクスを自死に追い込んだが、本書はその謎かけを「解く」ということと「哲学する」ことの同型性を指摘するところから始まる。そして著者はその謎かけの解決者としてヴィトゲンシュタインを置く。 「謎」はこれを「謎」と思わない人にはなんでもないこと、無意味なこと、どうでもいいことである。これを「謎」と気づくにはその「謎」に「つまずく」ことが必要であると著者は言う。そして謎の答えを見出すためには、論理的判断や推理では役に立たない(ホイジンガ)。謎にまつわる言葉の曖昧さを切り捨て、言葉を研ぎ澄ますことによって謎は消失するものではなく、謎が問われる場における意味の転移-それは謎解きの「規則」を生成すること、発見するこ