過日,坂本多加雄氏の『日本の近代 2 明治国家の建設 1871~1890』(中央公論新社)を読んでいて,明治初頭の国家と宗教との関係について述べている所で,従来自分が思い込んでいたものと何か違うものを感じ,引用されていた研究書に二,三あたってみた.丁度其の頃だったろうか,平日の日課になっている連線図書通販のbk1の新刊書を眺めていて,前記研究書の著者が以下の一般向けの本を出したことを知った. 新田 均著 『「現人神」「国家神道」という幻想―近代日本を歪めた俗説を糺す。』(PHP研究所) 上記の研究書を捲った段階で,regime change(体制改革)に向けての占領軍による戦前日本に対する仮借なき的外れの糾弾,それに対する日本人側の戦犯・公職追放指定回避のための形振りかまわぬ保身,主権回復後の日本の研究者の怠惰・恣意等の混合による誤解ないし幻想の存在を当該分野にも感じ,直ちに前述新刊本を発