今年の5月23日、仙台在住の宗教学者・川端純四郎氏が亡くなった。私は新聞でそれを知ったのだが、この1週間ほどで、その遺稿とも言うべき『バッハ万華鏡』(7月25日刊、日本キリスト教団出版局)という本を読んだので、今更ながら少し触れておこうと思う。 私がこの方の名前を知ったのは、大学に入って間もない頃だった。中学校時代の恩師A先生から、「東北学院大学にいる川端純四郎という先生は、人格者である上、とても頭の切れるすごい人だ。学問をするなら、あのような人に就くのがよい」というようなことを言われた。私は宗教学を学ぼうと思っていたわけでもないし、入った大学も学院大ではなかったので、そう言われても困るなぁ、と少し思ったが、A先生がそのように言うからにはよほどすごい人なのだろうと、名前だけは記憶に残った。 当時の私は恐いもの知らずだったので、研究室を直接訪ねて議論をふっかけるなどというのは朝飯前だったはず