1959年栃木県生まれ。83年慶應義塾大学文学部卒業、85年同大学修士課程文学研究科修了、88年同大学大学院博士課程単位取得退学。93年日本古典文学会賞受賞、同大文学部助手、助教授を経て、2005年より現職。文学博士。「奈良絵本・絵巻」の作者や制作時期について調査する研究を行っている。主な著書に『慶應義塾図書館蔵 図解 御伽草子』(慶應義塾大学出版会)、『奈良絵本・絵巻の生成』(三弥井書店)、『奈良絵本・絵巻の展開』(三弥井書店)、『入門奈良絵本・絵巻』(思文閣出版)など。 奈良時代のものでもないのになぜ「奈良絵本」? ──先生は、「奈良絵本・絵巻」研究の第一人者だと伺いました。「奈良絵本」というものを、初めて聞く読者の方も多いかと思いますので、まず初めに「奈良絵本・絵巻」について、教えていただけますか? 石川 室町時代の終わりから江戸時代前期に京都で盛んに制作された、美しい色の付いた絵本