美術館 > 刊行物 > 学芸室だより > 学芸員の仕事紹介 > 学芸員の仕事紹介(3) 原稿執筆と校正作業 田中善明 学芸室だより 人間だれにでも、得手不得手がかならずあります。不得手な部分を、どういうかたちで補っていくか ― 得意な分野をぐっと伸ばしてトータルで帳消しする方策なら苦になりませんが、不得手な部分を克服しようと考えてみますと、かなりのストレスが伴います。何十年も不得手としている分野は、「不得手」だという強烈な意識があるかぎり克服はむずかしいといえます。 いったい何を弁解しているのかといいますと、単純に僕は原稿書きを苦手としていることを言いたかったわけです。それだけです。ところが、美術館活動にはさまざまな原稿書きの仕事があります。僕にとってストレスを感じないで済ませる原稿は、各種仕様書や修復、調査の報告書類だけです。なぜなら、それらはアイデアや独自性を介在させることよりも、忠実