アリア、とはなんだろう。 J.S.バッハが書いた一つの長大な変奏曲が1741年に出版された、その初版楽譜の扉には以下のように書かれている。 Clavier Ubung (- 鍵盤練習曲) bestehend (- によって成り立つ) in einer (- あるひとつの) ARIA (- アリア) mit verschiedenen Verænderungen (- それぞれ異なる変奏と) 日本語を並べ替えると 「ある一つのARIAと異なる変奏によって成り立つ鍵盤練習曲」 となる。 この作品が『ゴルトベルク変奏曲』と呼ばれる理由については、フォルケルという人が出版した「バッハ伝」の中にある逸話がもとになっている。 優秀なチェンバロ奏者ゴルトベルクが、不眠症の伯爵に頼まれて眠れない夜ごとに、彼の枕もとでこの作品を演奏していた…というのであるが、洗礼年を見る限り、ゴルトベルクという人がその時ま