読了。 茶の湯における宗教的、哲学的面、即ち茶道について、その根本を考察した本。 作者によると、禅問答では、仏法の根本とは如何にとの問いに、行住坐臥著衣喫飯(日常生活の活動)だと答える。日常生活の外に仏法があるのではなく、日常そのものが仏法のはたらきなのだとする。 この考え方を踏まえた上で、作者は利休言うところの「茶の湯とはただ湯をわかし茶を立てて飲むばかりなるものとしるべし」について考察する。 この語句は、茶の湯とは堅苦しくルールを守るものではないのだ、と単に解釈されがちであるが、作者としては、それは間違っている。日常即ち仏法と同じく、ただ湯をわかし茶を飲むことが行われたとき、それはそのまま根源的な悟りに通じうる。悟りの中での茶の湯は、自由に行ってもルールを超えず、ルールを創る。と言うのが作者の主張である。よって、気軽にルールなど気にせず茶を飲めばよいなどとはとんでもない話。ただ茶を飲む