安楽死や自殺幇助に関する議論で、誰もが意識しつつも、誰も口に出そうとはしないタブーな話題がある。それは、安楽死が持つ経済的な影響だ。厄介なのは、それが議論で外せない重要な論点となっていることだ。 そんな状況のなか、シンクタンクのフランス政治刷新研究所が、この問題を正面から取り扱う思い切った報告書を公表した。その報告書『人生の終末期に関する議論で語られない経済的・社会的側面』の著者パスカル・ファーヴルに話を聞いた。 ──なぜ人生の終末期における社会的・経済的側面に関心を抱いたのですか? 私は医者ですが、いまは博士課程に籍を置き、安楽死の問題を研究しています。医者が安楽死にどう関わるのか、そのとき医者にどんな責任があるのか、ということに関心を持っています。 研究のなかで、安楽死が合法化されたときにどんなことが起きるのか、他国の事例を調べることになります。ベルギーとオランダでは2002年から、ケ
