フランスで出会った映画の道 ──あなたがここまでたどりつけたのは、どうしてだと思いますか? 22歳のとき、絵画の代わりに映画の道に進むのもいいと気づけたからです。映画なら、ほかの芸術もすべて含まれるので、絵画よりも豊かな表現になりうると気づいたのです。 画家になることを夢見ていた私は、このことに気がついたとき、激しく動揺しました。私は画家になるためにデュッセルドルフを離れて、パリで勉強していたのです。ただ、その頃の私は午後にひまな時間があり、自分の部屋は凍てつく寒さだったので、映画博物館の「シネマテーク・フランセーズ」に逃げ込んで、そこに入り浸っていました。 最初は1日に1本見るくらいだったのですが、そのうちに1日に2本、3本見るようになりました。どの回も、上映前にシネマテークの創設者アンリ・ラングロワが映画の紹介をしてくれました。1年も経つと、私はシネマテークのコレクションを全作品見てい