下北沢のいいところは、道を歩いていると、音楽CDの広告看板があることだ。通るたびに、なんだかたのしい気持ちになる。これからリリースされる新譜を宣伝している。いいなあ、CDの看板。すごくぜいたくをしているような気になる。 CDなんて買わなくても生活できてしまうのである。まったく必需品じゃない。これだけ景気がわるいとか、CDが売れなくなったとかいわれていて、CDそのものが販売フォーマットとして終わるんじゃないかとかいわれて、まあそうなのかも知れないけど、やっぱりわたしは、CD屋さんとか中古レコード屋さんとかがすきだ。 道ばたに新譜CDの看板があると、なんだか九〇年代の渋谷みたいな感じでキラキラしていてたのしいし、気持ちによゆうがでてきて、「人はパンのみにて生くるにあらず……」という心境になる。いくら経済がひっ迫しても、表現する人はいなくならないし、音楽だってかならずどこかで鳴っている。 下北沢