*Jacques Rancière : Béla Tarr, le temps d'après, Capricci, 2011. タル・ベーラの世界をハンディに概観できる好著をランシエールがものしている。おそらく最初のタル・ベーラ研究書のひとつだろう(フィルモグラフィー等はついていない)。ランシエールの映画論としてはかなり読みやすい。ランシエール映画論の入門にももってこいかもしれない。 タル・ベーラの映画は大きく二つの時期に分かれる。『家族のねぐら』(1979年)から『秋の暦』(1985年)までの初期作品は、家族問題をみつめ、社会への怒りをストレートにぶつけたリアリズム路線。『刧罰』 (1988年)以後、れいの重厚長大なスタイルに変わる。 タル・ベーラの映画がコミュニズムの挫折以後の絶望の世界についての“寓話”であるとはよく指摘されるところだ。 やむことのない雨あるいは突風。晴れることのな