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ブックマーク / blog.livedoor.jp/iseda503 (19)

  • Daily Life:佐藤氏のリプライ

    March 07, 2013 佐藤氏のリプライ 先日のエントリーに著者の佐藤氏自身からリプライをいただいた。せっかくなので以下に掲載する(著者には許諾いただいたことを感謝する)。赤字で若干フォントが小さいのがもとのわたしのコメント、黒字が佐藤氏のリプライである。 ****** 1ヘア自身による発言 さて、佐藤氏(以下著者)がヘアの選好功利主義が規範倫理学理論ではないと主張する根拠を見る前に、ヘア自身がMTで選好功利主義についてどういう発言をしているか確認しよう。 MTにおいてはそもそも選好功利主義という言葉自体がほとんど使われていない。わずかに、功利主義には幸福版と選好版があると述べている箇所(MT, p.103, 邦訳p.155)があるくらいであり、むしろヘアが選好功利主義を伝統的な功利主義の延長線上でとらえていることをしめしている。その他にも、明らかに通常の意味での功利主義について語っ

  • Daily Life:選好功利主義は規範倫理学理論ではないのか

    March 04, 2013 選好功利主義は規範倫理学理論ではないのか (2013年3月7日追記:以下の書評に対し佐藤氏人よりリプライを頂いたので、次エントリーに掲載させていただいた。) 現在佐藤岳詩氏の著書『R・M・ヘアの道徳哲学』 の書評を執筆しているのだが、このでもっとも目を引く主張である、「選好功利主義は規範倫理学理論ではない」(p.83)というテーゼについて論じようとしたら、もう紙数がつきてしまっていた。 そこでその部分だけ分割してここに公開しようと思う。以下、MTはここで主な検討の対象となっているヘアの著書『道徳的に考えること』(Moral Thinking,1981)を指す(訳文は邦訳に依拠しているので邦訳のページ数も示す)。SEはヘア晩年の著書Sorting Out Ethics (1997)を指す。MTないしSEという注意書きのない引用は佐藤氏の著書のページ数を指す。

  • Daily Life:科学哲学と鳥類学の比喩

    November 07, 2012 科学哲学と鳥類学の比喩 科学哲学と鳥類学の比喩がまた話題になっていたようなので、せっかくなので出典を調べてみた。 発見できた出典は以下のもの。 S. Weinberg "Newtonianism, reductionism and the art of congressional testimony" Nature 330, 433 - 437 (03 December 1987). ワインバーグがSSCの建設について自分がどのような証言を議会でしたか、「プリンキピア公刊300周年」の機会にニュートンとからめて話した講演を採録したもの。その冒頭でワインバーグがこのように言っている。 "My talk this afternoon will be about the philosophy of science, rather than about scie

    gauqui
    gauqui 2012/11/07
  • Daily Life:疑似科学批判のディ=ジョージ風基準

    October 24, 2012 疑似科学批判のディ=ジョージ風基準 早稲田大学のGCOE「制度設計の政治経済学」というプロジェクトの一環のセミナーに呼ばれて話をしてきた。 http://globalcoe-glope2.jp/modules/piCal/index.php?smode=Monthly&action=View&event_id=0000000587&caldate=2012-10-23 テーマは疑似科学をめぐる科学者の倫理。『社会と倫理』の25号に寄稿した論文をもとに議論。 http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/ISE/japanese/publications/se25.html 早稲田の学生さんたちは(先生も)大変熱心に質問をしてくださった。質疑応答を忘れないうちにメモ。特に論文の最後に書いた「ディ=ジョージ風」の基準に質問が集中した。質問の趣旨をと

  • Daily Life:功利と直観

    January 06, 2011 功利と直観 功利と直観―英米倫理思想史入門 著者:児玉 聡 勁草書房(2010-11-26) 販売元:Amazon.co.jp クチコミを見る 著者から御恵投いただいた。ありがとうございます。ようやく最後まで読めました。以下書評めいたことを簡単に。 書は18世紀から21世紀にまたがる功利主義をめぐるさまざまな論争を「功利主義」対「直観主義」という対立軸で捉えた意欲的なである。私自身、18世紀あたりは不案内で、いろいろ勉強になることが多かった。内容も、ヘアやロールズの紹介など、わたしに分かる範囲ではおおむね正確だと思われる(『道徳的に考えること』の出版年が1986年になっていたりという細かいミスはあるが)。ただ、110ー111ページのムーアと(メタ倫理学的な)直観主義の関係についての記述が若干疑問である。そこに話をしぼって「バグとり」をしたい。 著者は

  • Daily Life:映像

    March 19, 2012 映像 「関係性の科学」の4回目を東京でやっていたようだ。動画は公開されているようなのでまたあとで見よう。 講演会でもこうやってあとで見ることができるようになったのは大変ありがたいことだが、しゃべる側にとってはちょっとした言い間違いからうっかり不適切発言に至るまで永久保存されてしまうということで気軽に話せなくなってしまうという面はある。 ふと自分の出演している映像・音声がどのくらいネット上に存在しているのだろうと気になって整理してみた。 「名古屋大学OCW『科学・技術の哲学』紹介」2006年 http://ocw.nagoya-u.jp/index.php?lang=ja&mode=c&id=45 「公開シンポジウム これが応用哲学だ」 2009年4月26日 http://www.youtube.com/watch?v=T2aIfzgUaAI 「関係性の科学 v

  • Daily Life:欠如モデルの由来と発展(その2)

    February 26, 2012 欠如モデルの由来と発展(その2) (承前) 3 その他の初期の用例 初出のはっきりしなさにもかかわらず、90年代前半に、欠如モデルという言葉は、Public Understanding of Science誌 (以下PUS誌と略)を中心として、多くの論者が使う言葉となっていく。その用例のいくつかを確認しておこう。 3-1 Durantらの理解 ZimanとWynneの次にはやい言及としては、Durantらによる言及がある(Durant et al1992) 。 稿で紹介する他の論者らと違い、Durantらはむしろ欠如モデルを擁護する側からこの言葉を利用している。Durantが欠如モデルの初出時のワークショップに出席して批判に答える側だったことを考えるなら、彼が欠如モデルをどう理解したか、というのは、欠如モデルがもともとどういう意味か、という問いにおいて

    gauqui
    gauqui 2012/02/27
  • Daily Life:欠如モデルの由来と発展(その3)

    February 26, 2012 欠如モデルの由来と発展(その3) (承前、今回でおわりです) 5 欠如モデルCの用例 さて、以上の分析では、欠如モデルB(公衆の科学理解をどのように増進するべきかについてのモデル)や欠如モデルC(科学者への不信などの問題を解決するためのモデル)だとはっきり言えるものは見当たらなかった。特に、現在の日でもっとも優勢であると思わ れる欠如モデルCが1996年の段階になってもすっきりした形であらわれないのは気になるところである。欠如モデルCはどこから出てきたのだろうか。 小 林は典拠として「Wynne 1995」を挙げている。これはHandbook of Science and Technology Studies の「公衆の科学理解」の項へのレファレンスである(Wynne 1995)。しかし、この論文で Wynneは欠如モデルという言葉を明示的には使ってい

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    gauqui 2012/02/27
  • Daily Life:「科学的思考」のレッスン

    November 28, 2011 「科学的思考」のレッスン 「科学的思考」のレッスン―学校で教えてくれないサイエンス (NHK出版新書) 著者からいただいた。ありがとうございます。 第一章から第六章までは科学哲学の紹介、第七章から終章にかけては科学技術社会論の紹介、という構成になっている。科学哲学的な内容としては、境界設定問題、科学的説明、検証理論などのオーソドックスなテーマを取り上げているのだが、「科学的思考」とは何かを考える、という問題設定の下に非常によく消化されていて、「無理に科学哲学にこじつけました」という感じはまったくない。特に、「科学的説明」という、科学哲学の定番の話題の中でもどちらかというと玄人好みの(言い換えれば哲学者以外にとってはどうでもいいような)話題をこの流れの中に自然に組み込んだ第三章は工夫が光る。第六章では「共通原因の原理」が(その言葉は使わずに)解説されている

  • Daily Life:『医学と仮説』 (つっこみその4)

    November 23, 2011 『医学と仮説』 (つっこみその4) 「その1」「その2」「その3」は以下の場所です。以下のコメントを読むための注意書きもそちらを参照してください。 http://blog.livedoor.jp/iseda503/archives/1678777.html http://blog.livedoor.jp/iseda503/archives/1678778.html http://blog.livedoor.jp/iseda503/archives/1684840.html p.48 「科学の基が希薄なため、仮説のレベルが混同されている」 pp.49-50 「日では「科学とは何か」が問われもせず、人間の研究が科学と考えられず、実験が必要条件と勘違いされた上に、仮説や観察対象のレベルの混同が放置された。人か、実験動物か、細胞か、遺伝子か、分子か、原子か、

  • Daily Life:『医学と仮説』(つっこみその3)

    October 25, 2011 『医学と仮説』(つっこみその3) 「その1」と「その2」は以下の場所です。 http://blog.livedoor.jp/iseda503/archives/1678777.html http://blog.livedoor.jp/iseda503/archives/1678778.html そちらにも追記しましたが、著者の津田さんとのディスカッションの 中で、津田さんより、最初の2つのエントリーについていろいろ意見をいただいています。それを踏まえて注記しておきますが、以下の事項の中には、わたしが「これはひどい」と思ったものから、一応つっこんでおこうというレベルのものまで、さまざまなものが含まれます。内容も科学哲学には限定されません。以下を読む方はそのことをご理解下さい。 さて、今回は第二章中盤、35ページから47ページまでコメントします。 p.35「し

    gauqui
    gauqui 2011/10/25
  • Daily Life:災害論

    October 24, 2011 災害論 多方面に迷惑をかけながらも作文作業終了。 迷惑をかけたうちの一件はこちら。科学哲学会のサテライト企画で行われる「論理学と数学の哲学に関する研究会」。わたしも曖昧述語の統計モデルについてしゃべります。 いろいろなも送っていただいたままなんのリアクションもせずにおきっぱなしになっている。 加藤尚武先生からは『災害論』をいただいた。奥付は11月になっているが10月中旬にはすでにアマゾンでも買えるようになっていた。 災害論―安全性工学への疑問― (世界思想社現代哲学叢書) 3月11日以前に書かれた原稿も多いが、その後の経緯も踏まえていろいろ加筆がなされている模様。論点はいろいろだが、たとえば、ルイスの『科学技術のリスク』に代表されるような確率論的安全管理の考え方を批判し、現在の原子力損害賠償法の背後にある無過失責任の考え方と質的にそぐわない、と指摘して

    gauqui
    gauqui 2011/10/24
  • Daily Life:科学が進化する5つの条件

    October 13, 2011 科学が進化する5つの条件 市川惇信さんという方の科学が進化する5つの条件 (岩波科学ライブラリー)というを読んだ。 読むことになったのは、少し前の記事で、津田敏秀さんのへのコメントの中でこんなことを書いたせいである。 「なぜここで突然「市川氏」の科学哲学の話になるのか。市川氏はそもそも何者なのか(文献表を見ればもちろん分かるわけだが、文中での登場の仕方は唐突で ある)。科学の方法論について語る科学哲学者はたくさんいるし、一般入門書も何種類もあるわけだが、なぜそれらはすべて無視で科学哲学を専門にしない市川 氏の議論だけが紹介されるのか。」 この記事は市川さんについて大変否定的な言及のしかたになってしまっていたが、実際に読んでみてだいぶ意見をあらためた。市川さんには陰ながら (?) お詫びしたい。罪滅ぼしに紹介とコメントをしたい。 こので科学の基的方

  • Daily Life:医学と仮説 (つっこみその2)

    September 29, 2011 医学と仮説 (つっこみその2) [2012年8月27日追記:川端さんのブログでのディスカッションを拝見した結果、コメントを一件撤回することにいたしました。詳しくは下を御覧ください。] [2011年10月18日追記:著者の津田さんとのディスカッションの中で、津田さんより、以下のような列挙のしかただと、「これはひどい」とわ たしが思うような項目がこれだけの数あるかのような印象を読者に与えるので困る、という趣旨のクレームがありました。そのため、注意書きを書き添えます。 以下の事項の中には、わたしがひどいと思ったものから、一応つっこんでおこうというレベルのものまで、さまざまなものが含まれます。内容も科学哲学には限 定されません。以下を読む方はそのことをご理解下さい。] 医学と仮説――原因と結果の科学を考える (岩波科学ライブラリー) クチコミを見る 第二章の最

    gauqui
    gauqui 2011/09/29
  • Daily Life:医学と仮説 (つっこみその1)

    September 29, 2011 医学と仮説 (つっこみその1) [2011年10月18日追記:著者の津田さんとのディスカッションの中で、津田さんより、以下のような列挙のしかただと、「これはひどい」とわたしが思うような項目がこれだけの数あるかのような印象を読者に与えるので困る、という趣旨のクレームがありました。そのため、注意書きを書き添えます。以下の事項の中には、わたしがひどいと思ったものから、一応つっこんでおこうというレベルのものまで、さまざまなものが含まれます。内容も科学哲学には限定されません。以下を読む方はそのことをご理解下さい。] 医学と仮説――原因と結果の科学を考える (岩波科学ライブラリー) クチコミを見る 疫学者の津田敏秀さんの著作。以前から疫学の重要性を訴え、たとえば水俣病を中毒事件として扱えばもっとうまく処理できたはずだという議論など、興味深い論点をいろいろ出されて

    gauqui
    gauqui 2011/09/29
  • Daily Life:野崎書評つづき

    July 10, 2011 野崎書評つづき 以下生を肯定する倫理へ―障害学の視点からの書評のつづきです。もう一回つづきます。 2 シンガーの議論をめぐって 2−1 功利主義全般の紹介について 功利主義理論の一般的な内容は第二章で紹介されるが、主な批判は第三章で展開されている。批判の対象となるのはピーター・シンガーである。 第二章のまとめは、細かいところでいくつか疑問はあるものの、おおむね納得できるものである。(ヘアの立場の説明として「すべての場合に選好功利主義によって行為の善し悪しが確定するとは考えていない」というのは、非常にミスリーディングである(p.74)。 直観レベルでの行為指針の話をしているのであれば、むしろ選好功利主義を直接当てはめる方が例外中の例外だというのがヘアの立場であるし、最終的な正当化 について言っているのであれば、二層理論においても最終的な基準は選好功利主義である。ま

    gauqui
    gauqui 2011/09/12
    ピーター・シンガー
  • Daily Life:ハーツォグ『ぼくらはそれでも肉を食う』

    July 21, 2011 ハーツォグ『ぼくらはそれでも肉をう』 ぼくらはそれでも肉をう―人と動物の奇妙な関係 Anthrozoologyの。Anthrozoologyは「ヒトと動物の関係学」と訳すのが日の学会の名前とも一致していいのだと思う(もっともヒトと動物の関係学会の英語名称はanthrozoologyではないのだが)が、書ではなぜか「人類動物学」と訳されている。 全体としてのメッセージは、動物に対する態度は、動物愛護の活動家であれ闘鶏愛好家であれその中間のもっと一般的な人であれ一貫していないのが心理的に普通だということで、著者自身による非常に多様な人々に対するインタビューと、さまざまな心理学的知見、社会調査の知見などが紹介されている。自分は「菜主義者」だと答える人の6割がなんらかの肉を24時間以内にべている、という調査結果などがおもしろい。 翻訳は、あとで指摘する細か

  • Daily Life:科学者の専門職倫理

    gauqui
    gauqui 2011/07/13
  • Daily Life:野崎泰伸『生を肯定する倫理へ 障害学の視点から』

    July 10, 2011 野崎泰伸『生を肯定する倫理へ 障害学の視点から』 生を肯定する倫理へ―障害学の視点から を著者から御恵投いただいた。せっかくなので少しコメントしたい。記事が長いので三つに分けて投稿する。 書は著者が障害者としての自らの体験もふまえつつ、現代倫理学の主流のアプローチに対して「生を肯定する倫理」を打ち出すという意欲的な著作である。障害学と現代英米の倫理学は、非常に近い問題を扱う面もあるにもかかわらず、あまりきちんとした突き合わせがなされてこなかった。その意味で、両方の文献を読み込んだ著者の議論には参考になる視点が多い。 以下は、現代英米倫理学、特に功利主義に近い立場から、野崎氏の論述がどう読まれるのか、という応答である。それにしても、書で扱われているすべての話題に反応するのは難しいので、話題は三つに絞る。一つは「社会モデル」をどう考えるか、二つ目はシンガーをどう

    gauqui
    gauqui 2011/07/10
    ブログでこのレベルの書評が読めるのはありがたい
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