シルヴァン・カンブルランが読売日本交響楽団を率いてベルリオーズの《ロミオとジュリエット》を演奏した。大掛かりな管弦楽と合唱、そして独唱陣が必要なこの「劇的交響曲」は、実演される機会が少ない曲のひとつだ。ローラン・ナウリ(拍手!)を筆頭に、独唱・合唱とも見事に持ち場を守ったが、この日の白眉はなんと言ってもオーケストラ。そして、あの管弦楽を実現させた指揮者・カンブルランである。当夜のオーケストラにはカンブルランの「魔法」が効いていた。 カンブルランの「魔法」とは何か。それは、ヴィブラートとノンヴィブラートを表現手段としてしっかりと使い分けていたこと。そしてそれが、3つの効果を生み出しこと。両者の使い分けはまず、文学的内容を表現するのに効果を挙げた。すなわち、素朴だったり諧謔的だったりする場面ではノンヴィブラートを、愛の情景や、葬送・死・祈りと言った場面ではヴィブラートを使い、一面的になりがちな
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