ソムリエという存在を、私は完全に誤解していた。 グラスに注がれた高級ワインに、ポエティックな表現と薀蓄を添えてサーブしてくれる少々気障な存在。恥ずかしながら、そんな先入観を持っていた。 でも、本書を読んで心の底から理解した。 己の知性と感性の全てを賭けてワインと対峙する本物のスペシャリスト。経験に裏打ちされた華麗な技術を次々と繰り出す究極のサービサー。そして、お客様に最高の時間を過ごしてもらうために、人生の全てを惜しみなく捧げて毎日を生きる真の人格者。 それが、ソムリエ。それも、世界最高レベルのソムリエなのだと。 本書は、2010年にチリで開催された第13回世界最優秀ソムリエコンクールを追ったノンフィクションだ。世界各国から選ばれた総勢54人のソムリエたちが、世界ナンバーワンの座を賭けて、その技術とセンスを競い合う。4月10日のウェルカム・パーティーで幕を開けた大会は、6日間にわたって開催
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