体が鉛のように重い。 今この文章を、愛人さんのベッドで書いている。 彼女が出勤した後の部屋に、僕は残っている。 テレビでは根本君が明るい声で今日の天気を伝えている。 僕は窓の外の洗濯物をぼーっと見ている。 昨日は彼女を同伴してパーティーに行った。 青山の裏道の一軒家を改装したレストランで行われたパーティーには、30人程の男女が集まっていた。 ホストが暖かく僕達を迎え入れてくれる。 彼女はとても明るく、気の利く女だ。 初対面の僕の取引先に対してもとても自然に接することができる。 決して前に出過ぎることはなく、相手を讃え、酒の世話をし、パーティーの華をこなす。 たくさんの男が彼女を口説こうと言い寄ってくる。 それを彼女は柔らかい笑顔で躱す。 時折僕に目配せをしながら、付かず離れずの距離を保つ。 ちゃんと自分の役割を理解しているんだ。 そんな利発な彼女を愛人にできて僕はとても幸せだ。 パーティー
![愛人宅にて。](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b1638cdb5807a4788e4ba3c1109a984166e095fc/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fanond.hatelabo.jp%2Fimages%2Fog-image-1500.gif)