青少年健全育成に関して、いろいろ考えるための資料。2010.3.18 以下に掲載するのは、明治35(西暦1902)年、『教育学術界』という教育雑誌に掲載された文章です。著者は坪内雄蔵、一般的には坪内逍遙として知られている小説家です。(著作権の保護期限は過ぎています) 当時は漢学者を中心に、「小説」を非難する人が大勢いました。当時の小説は新しい表現形態である「言文一致体」で書かれており、「勉強していない若者にも簡単に読めてしまう」ことが非難の根拠となっていました。江戸時代まで日本の教養の中心は「漢文」であり、漢文以外で書かれた文章はまともなものとは見なされない傾向にありました。内容においても、小説は男女の恋愛を扱うものが多く、それも非難の材料となりました(興味ある方は明治25年頃の北村透谷の小説論を調べてみてください)。 そこで、教育界では、「はたして生徒に小説を読ませてもいいのか?」