■忘れ去られた事故 いまも・・・6月も下旬に入り、全国各地の学校で、プールの授業が開始されている。また水泳部活動でも、プールを利用したトレーニングが活気づいている。 そのプールにかかわる重大事故のなかで、「忘れ去られた事故」とでもよぶべきものがある。スタート台やプールサイドからの飛び込みによる事故である。飛び込んだ直後に、プールの底に頭部を打ち付け、脳損傷や頸髄損傷を負い、重度の麻痺を残したり、死に至ったりする。 「飛び込み事故」というと、スポーツ事故に関心のある方は、「それって昔のことでしょ?」と反応する。じつは私自身もそうだった。だが、各種スポーツ活動における頭頸部の障害事例を整理するなかで、いまもなおプールでの飛び込み事故がくり返されているということが見えてきたのだ。 ■過去31年間に169件の障害事故、うち151件が頭頸部昨年の7月、N市立中学校の保健体育の授業において、2年生の男