ぼくの知人に、中学時代(いまから20年ほど前)、ナウル共和国という南太平洋の島国の大統領宛てに手紙を送ったという人がいる。ただ、当時東京にあったその国の領事館に手紙をことづけたものの、あとで電話で問い合わせたら、そんな手紙は届いていないと大使館員に言われたらしい。 ちなみに知人は、手紙のなかで「あなたの国では燐鉱石の採掘が盛んだそうですが、それだけでは資源が枯渇したときに困りますよ」と忠告していたという。 こんな話を思い出したのも、先頃文庫化された『国マニア』を読んでいたら、ナウルのことがとりあげられていたからだ。 それによると、この国は、島全体から採掘される燐鉱石(肥料の原料になる)を輸出して莫大な富を得ていた。このため、税金や教育費はタダ、人口1万人強のうち58%を占めるナウル人は年金で十分に暮らせるのでほとんど働かず、労働は出稼ぎの外国人まかせっきり……という状態が長らく続いていたの