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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (5)

  • 麻雀漫画はいかにして生まれ、発展していったのかが凄まじい熱量と共に語られる、オンリーワンの通史──『麻雀漫画50年史』 - 基本読書

    麻雀漫画50年史 作者:V林田文学通信Amazonこの『麻雀漫画50年史』は書名の通り、70年代から現代(20年代)まで約50年の麻雀漫画歴史を追った、オンリーワンの一冊である。僕は麻雀漫画全般に詳しいわけでも思い入れがあるわけでもないが、書はとにかくおもしろかった。 「麻雀漫画」という狭いテーマを扱いながらも、作家や作品の関連を深く掘っていくことで小説や実際の麻雀業界、アニメ業界との関連もみえてくる。まず、そうした「麻雀を通してみる」ひとつの文化史としてそれ自体がおもしろい。そして、著者のスタイルは作品の概要を紹介するにとどまらず、作品が現代の鑑賞に耐えられるかといった率直な視点からも評していて、「麻雀漫画ガイド」としても機能している。 僕も知らない麻雀漫画が大量に紹介されていて、手に入るかどうかはともかく読みたい漫画が大量に増えた。たとえば世界を統合することが使命と信じる北島敬を主

    麻雀漫画はいかにして生まれ、発展していったのかが凄まじい熱量と共に語られる、オンリーワンの通史──『麻雀漫画50年史』 - 基本読書
  • イスラエルのSFを集めた、恐ろしく質の高い傑作アンソロジー──『シオンズ・フィクション』 - 基本読書

    シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選 (竹書房文庫) 発売日: 2020/09/30メディア: 文庫この『シオンズ・フィクション』は、イスラエルSFの傑作16篇を集めたアンソロジーである。訳者の一人である山岸真さんがの雑誌などで凄い凄いと書いていたので期待していたのだけれども、読み始めてみれば、たしかに恐ろしく質が高い作品が揃っている。それも、イスラエルの文化歴史を反映させた、あまり味わったことのない発想や表現が出てくるので、4篇ほど読んだところでイスラエルにこんなスゲーSFの書き手が存在していたとは……と幽遊白書の魔界トーナメントの気分を味わった。 しかし、それも不思議なことではないのかもしれない。編者二人による巻末に置かれた「イスラエルSF歴史」は、『イスラエルという国家は、質的にサイエンス・フィクション(SF)の国とみなしてもかまわない──地球上でただひとつ、一冊では

    イスラエルのSFを集めた、恐ろしく質の高い傑作アンソロジー──『シオンズ・フィクション』 - 基本読書
  • 予知能力を持った一人の女性の人生を2043年まで描きあげた『クラウド・アトラス』著者による幻想文学──『ボーン・クロックス』 - 基本読書

    ボーン・クロックス 作者:デイヴィッド ミッチェル発売日: 2020/08/20メディア: Kindle版この『ボーン・クロックス』は、19世紀から第二次世界大戦前、1970年代に現代ロンドンと幅広い年代&場所&職業の人間を通して一枚の複雑な絵を描きあげた『クラウド・アトラス』で知られるデイヴィッド・ミッチェルの6作目の小説である。これまでの作品と同じく、複数の時代や特殊能力を持つ人間を語り手に据えながら、パズルが組み上がっていくように大きな世界を築き上げてみせる、壮大な幻想文学だ。 最初の舞台になるのは1984年、イギリスのケント州で暮らす当時15歳のホリー・サイクスだ。親に年上の彼氏との交際に反対されたことから思春期らしい反抗性で家出を決意。その直後信じていた恋人に浮気が発覚して裏切られ、親を少し懲らしめてやるためにも、頼れる人がいない中数日間なんとか一人で生きていこうと四苦八苦するの

    予知能力を持った一人の女性の人生を2043年まで描きあげた『クラウド・アトラス』著者による幻想文学──『ボーン・クロックス』 - 基本読書
  • 『大泉エッセイ 僕が綴った16年』と水曜どうでしょうの面白さの本質について - 基本読書

    大泉エッセイ 僕が綴った16年 (角川文庫) 作者: 大泉洋出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー発売日: 2015/04/25メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る2015年も後半戦になってお前は何を言っているんだと思われるかもしれないが最近水曜どうでしょうを延々と観ている。これまでの人生で笑った総量と同じぐらいの笑いを既に水曜どうでしょうから引き出されているんじゃないかというぐらい笑って、この番組に出ているメインメンバー四人のことが愛おしくてたまらない。言わずと知れた大泉洋に、最近は映画監督やドラマ監督としての活躍も著しい鈴井貴之、チーフディレクターの藤村Dにディレクター兼カメラマンの嬉野Dが繰り広げる旅バラエティ番組。四人それぞれまったくキャラが違い(一人はカメラマンでほとんど喋らないが)それぞれに味がある。奇跡的な配役だ。 そろそろ見れる分につい

    『大泉エッセイ 僕が綴った16年』と水曜どうでしょうの面白さの本質について - 基本読書
  • みならいディーバという奇跡 - 基本読書

    この世は常に失敗を怖れない偉大な開拓者たちによって切り開かれてきた。 一番乗りの開拓者には、そのリスクと引き換えにあるボーナスが与えられる。後続が洗練され、より優れたことをやる前のことなので、「たとえぐだぐだであっても、クォリティが低くても、成立していることそれ自体が奇跡だ!」という感覚が沸き起こってくるのだ。初期のiPhoneを思い返すがいい。あの頃のiPhoneはメールがきてもそれを通知する機能すらなかったのだ。だがそれでもみな嬉々としてiPhoneを触っていた。はじめて人が乗れる飛行機ができたときだって、今の旅客機からすればカスみたいなものだがみなそのクオリティに感動していた。なぜならそれは成立したことそれ自体が充分に奇跡的であり、エンターテイメントとなるからだ。 このみならいディーバはそういう意味で言えばアニメの世界で成立した奇跡である。製作総指揮の吉田尚記氏は『「『アニメを見たい

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