ケーブル線材についての3つの迷信 オーディオの科学へ戻る 本文(オーディオの物理学)でも述べたが、ケーブルの伝送特性に対し、線材に何が使われているかは重要な意味を持たない。にもかかわらずこの世界では変な迷信が信じられているようである。代表的なものを挙げると、 その1:超高純度信仰、 その2:線材の方向性 その3:クライオ処理 これらのことがいかに根拠のないことであるかを材料科学の立場から説明する。 はじめに、この問題は金属の結晶構造や組織、及び電気抵抗のメカニズムに関連するのですこし講義調の前置きをつける。 結晶構造 図 1 金属だけでなくほとんどの固体(ガラスや非晶質合金以外)は右図に示すように、その構成原子や分子が3次元的に規則正しく並んでいる。これを結晶といい、その構造を結晶構造という。なお、右図で原子(○)を結ぶ線は架空のもで見やすくするために書いてあるが、場合によっては